検索する
インターネットイニシアティブ(3774) 情報・通信
法人向けネットワーク需要が拡大
法人向けインターネット接続事業、SI（システムインテグレーション）事業、クラウドサービス事業やMVNO（仮想移動体サービス事業者）事業を手掛ける。
コロナ以降は日本でも法人向けネットワーク需要が拡大し、事業構造を変革するDX（デジタルトランスフォーメーション）を目的とした案件にも取り組んでいる。
当社は期間３～４年の高度・機能複合案件の獲得にも成功しており、2022年１～３月期は５件で計100億円、４～６月期は９件で計35億円分を受注した。このうち７～８割がネットワーク部門、２～３割がSI部門の売上として、７～９月期から徐々に売上計上される見込みである。
売上高営業利益率の改善が続く
MVNO事業では個人、卸（最終顧客は個人中心）、法人向けに22年６月末で約362万契約を有する。携帯キャリアに支払うデータ接続料の原価比率が高いが、NTTドコモの同接続料は来年度に約23％、再来年度に約16％低下が予定され、今後はMVNO事業の採算が向上する見込みである。
中期計画最終年度の24.3期に会社は売上高2,700億円（23.3期計画比８％増収）、営業利益率は23.3期計画の10.9％を上回る11.5％と計画。野村では、SI 事業で粗利益率の高い運用保守売上の拡大、MVNO事業でデータ接続料低下による採算向上を織り込み、24.3期の営業利益率は12.2％まで向上すると予想している。
(エクイティ・リサーチ部 増野 大作)
横河電機(6841) 電気機器
プロセス産業中心に制御事業に特化
当社は流体を原材料とするプロセス産業向けの生産制御技術に特化しており、制御事業が2022.3期売上の93％を占める。制御技術は、生産の各工程で温度や流量などを計測機器で計測し、適切な値になるよう各装置を制御する。顧客の業種構成は22.3期受注ベースでエネルギー関連が37％を占め、残りの非エネルギー関連は化学、薬品、食品などである。国内では非エネルギー関連の実績とノウハウが豊富にあるが、海外ではオイル・ガスなどエネルギー向けに偏重している。今後は、国内のノウハウをグローバル展開することで幅広い業種で受注が増えよう。受注・売上はオーガニック（自律的）に年率４～５％成長を野村では見込む。
世界的なエネルギーシフトは事業機会
ウクライナ紛争を起因に、エネルギー供給網の再配置がグローバルで進んでいる。特に欧州ではロシアからのエネルギー調達を他の地域からの調達にシフトするため、それに付随する投資が中長期で増加していくと期待される。エネルギー供給側である北米や中東で増産投資は増えており、両地域で当社の受注増につながっている。中長期では欧州でのLNG（液化天然ガス）受入れ設備関連の投資が増加することで当社の受注も増加すると見込まれる。当社ではロシア向けビジネスもあり、短期では同ビジネスの剥落による影響を受けるものの、中長期では世界的なエネルギーシフトの動きが事業機会となろう。
(エクイティ・リサーチ部 王 博瓊)
SOMPOホールディングス(8630) 保険
中期経営計画は順調な船出
当社は2022.3期より３カ年の中期経営計画をスタートさせた。１年目である22.3期は順調な滑り出しで、海外における保険料率引き上げやコロナ禍の継続による自動車事故の減少、運用収益の増加などにより株主還元の参考指標である修正利益は過去最高益となった。保有している海外の政策保有株の売却益を原資とした自己株式取得も22.3期上期決算時に公表しており、株主還元も充実した。23.3期第１四半期は損害保険業界として損失が例年以上に多く、当社も生命保険子会社にてコロナ関連の保険金等支払いや６月の雹(ひょう)災による損害保険金支払いの増加が見られたが、他のグループ対比では損失総額は大きくない。
社員の力を引き出すMY パーパス
当社の特徴的な取り組みとして昨年より力を入れているのが、中長期的に財務価値や企業価値に繋がる未実現財務価値の向上である。未実現財務価値を実現するもとになるのは人的資本であり、人材の力を高める仕組みとしてMY パーパスを用いている。当社では会社が掲げるパーパスに従うことを従業員に求めるのではなく、従業員一人一人の人生の目標となるMY パーパスをまず認識することを求めている。そのMYパーパスの実現のために自発的に業務に取り組み、その結果として会社のパーパスも実現するという価値創造サイクルを当社は描いている。人的資本投資の特徴ある取り組みとして注目したい。
(エクイティ・リサーチ部 坂巻 成彦)
※野村週報2022年9月26日号「銘柄研究」より
