トルコ南部で2月6日に、マグニチュード7.8規模の地震が2度に渡り発生しました。今後1年程度、余震が続く可能性が指摘されています。震源地は、トルコ南部から東部にかけて走る東アナトリア断層付近で、被災地域はトルコ南部から南東部、シリア北部にかけた広範囲に及びます。この地域には、繊維や鉄鋼などの製造業、パイプライン、発電所等の施設があり、人的、経済的な影響が懸念されます。

大地震の発生に伴い、トルコの株式相場は2月7日に急落、8日から取引が停止され、15日に再開される見込みです。また、中東からのエネルギー供給懸念が高まり、原油・天然ガス価格の上昇につながりました。一方、トルコリラへの影響は、現時点では限定的です。

今後のトルコリラは、大地震の影響に加え、大統領・議会選挙が相場を左右する要因になると考えられます。報道によれば、大統領・議会選挙の投票は、5月14日に予定通り実施される見込みです。与野党の支持率は拮抗していますが、仮に野党連合が選挙で勝利した場合には、中銀の独立性が強化されるなど、リラ反発の転換点になる可能性があります。しかし、被災地の復興など政策支援の実施は、エルドアン大統領の支持率を高める可能性があり、大地震は選挙結果を通じてリラ相場に影響する可能性があります。

他方、震災に関する政府支出がGDP比で5%を超える試算もあり、財政赤字の拡大が市場で懸念される可能性もあります。トルコリラは引き続き不安定な相場展開が予想されます。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

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