金融不安を注視しつつもインフレ対応優先

FRBは2023年3月のFOMCで、政策金利であるフェデラル・ファンド金利(FF金利)の誘導目標を4.75%~5.00%へと0.25%ポイント引き上げました。2022年3月FOMC以来9回目の利上げとなります。一方で、声明文では従来の「継続した利上げが適切になる」から、「何回かの追加引き締めが必要かもしれない」と表現が変更され、継続した利上げのフェーズが近々終了することが示唆されました。

パウエルFRB議長の会見では、「利上げ休止を検討したものの、利上げ支持が強いコンセンサス」だったこと、「今年の利下げを全く想定していない」ことがコメントされインフレ抑制を優先する姿勢が強調された一方、金融不安が景気やインフレに下押し圧力となったことが示唆されました。市場は、FOMCは総じてハト派的(景気重視)だったと受け止め、FF金利先物から逆算される政策金利の見通しは引き下がり、ドル安が進みました。

量的緩和はフレキシブルに

FRBは声明文で、米国債とMBS(不動産担保証券)の保有額縮小(QT、量的引き締め)を従来のペースで継続することを発表しました。一方でFRBの資産は金融不安に対応した緊急プログラムにより急増したことから、今後も金融システム不安に対してはフレキシブルに対応することが推察されます。

(投資情報部 竹綱 宏行)

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