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【オピニオン】2026年「午年縁起」下馬評を覆せるか

※画像はイメージです。 2025年も残り1ヶ月を切りました。年前半の株式市場はトランプ関税に振り回されましたが、年半ば以降は関税ショックを乗り越え、日米で史上最高値を更新するなど、上値を試す力強い展開となっています。予想以上に底堅い景気・企業業績に加え、AI投資ブームの到来が株価を押し上げました。日本では憲政史上初の女性首相が誕生し、「サナエノミクス」への期待が日本株再評価につながっています。 さて、毎年この時期に話題となる『干支』。2026年は「午年」です。過去の午年の金融・株式市場の動向を振り返ります。2026年の干支は、正確には『丙午(ひのえ・うま)』です。干支は「十干(じっかん)※」と「十二支」の組み合わせで成り立っています。「丙」は十干の3番目で、陰陽五行説では「火の兄(え)」。植物の生長サイクルでは、草木の葉が広がり勢いよく成長していく状態を指します。「午」は十二支の7番目で、動物は馬を当てます。古来、馬は神の使いとして願いや幸福を届ける存在とされ、神社に奉納する「絵馬」の由来となっています。また、力強く前進するさまは「勝利」「出世」「商売繁盛」などの象徴とされます。総じて「丙午」は、物事の勢いが最高潮に達するとともに、新たな一歩を踏み出す年と言えそうです。 前回の「丙午」は60年前の1966年です。陽の気が極まるとされる「丙午」の年に生まれた女性は気性が激しいとの迷信が広がり、日本の出生数が大きく落ち込んだことは広く知られています。一方、「いざなぎ景気」の本格化で高度経済成長期に突入し、人々の生活水準は大きく向上しました。「カラーテレビ(Color TV)」「クーラー(Cooler)」と並んで「自動車(Car)」が普及し始め、家計の「新・三種の神器(3C)」と呼ばれました。ベトナム戦争の泥沼化を受けて、国内で反戦運動が広がったのもこの頃です。 戦前を含めた過去8回の午年の日経平均株価の年間騰落率を見ると、上昇した年と下落した年の割合は4勝4敗(勝率50.0%)、勝率ランキングでは十二支の中で下から2番目の11位にとどまります。年間平均騰落率は-3.8%と、こちらは最下位(唯一のマイナス)と、さらに低調です(下図)。平成バブル崩壊時の1990年(年間騰落率-38.7%)や、世界恐慌時の1930年(同-26.6%)が足を引っ張っています。   十二支にまつわる兜町の相場格言には、『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』とあります。格言に従えば、最高値を更新した「辰巳」天井からの調整が暗示されています。裏を返せば、株価上昇に乗り損ねた人には「勝ち馬に乗る」チャンスの年と言えそうです。とはいえ、安易な「尻馬に乗る」ことなく、目先の相場の振れに一喜一憂しないことが何事も「うま」くいく秘訣でしょう。「人間万事、塞翁が馬」。2026年「午年」は、日本株市場で鬼門の年との「下馬評」を覆せるでしょうか。 ※「十干」とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」。「十二支」と組み合わせた「干支」は60年周期で一回り(=還暦)する。 日経平均株価 干支別年間パフォーマンス(1921年以降) (注1)1921年(大正10)~1949年(昭和24)はフィッシャ-式株価指数(グレー表示)、1945年の株価騰落率は9~12月の株価が発表されていないため、1946年1月の株価を使用して算出。1950年(昭和25)以降は日経平均株価。2025年は11月28日終値までの騰落率(日経平均株価:終値50,253.91円)。(注2)勝率が高い順にランキング。赤丸は2026年の干支。 (出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ご投資にあたっての注意点