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【オピニオン】AIブームは「生成AI」から「エージェントAI」へ

※画像はイメージです。 テクノロジー業界における2025年の話題として、エージェントAI(注)やそれを利用したツールであるAIエージェントのビジネスでの活用が挙げられます。 (注)英語表記は「Agentic AI」で、日本語訳は「エージェント型AI」もしくは「自律型AI」だが、「Generative AI」を「生成型AI」と訳すべきところを一般的に使用されている「生成AI」と表記したため、整合性を取った。 生成AIは文章や画像を「生成」することで個別のタスクを効率化します。これに対して、エージェントAIは、複数のタスクが絡む業務を自動で「実行」し、チームや事業部門など組織単位の業務を効率化することで、働き方に変化をもたらしています。米業務支援ソフト大手のセールスフォースは、エージェントAIによる働き方改革が既に進行中であると指摘しています。 米AI用半導体大手のエヌビディアは、2025年11月19日の決算説明会で、エージェントAIが普及しており、特にプログラミングや医療分野、証券分析などで生産性を高めているとコメントしました。同じく米半導体大手のクアルコムは、エージェントAIが従来の検索、コンテンツ生成、推奨システム、デジタルアシスタントの手法を破壊的に変革し、消費者の利便性と生産性に大きな改善をもたらすと述べています。 米生活必需品大手のウォルマートは、エージェントAIを、定期購入の商品について顧客にリマインドして在庫切れを防ぐマーケティングや広告の正確性の維持、在庫管理などに活用していると述べました。ウォルマートは同時に、上場市場をNYSEからナスダックへ変更することも発表し、その理由として自動化とAIの統合を挙げました。 AIブームが「バブル」ではないかとの議論があります。バブルと考える人々の主張の一つは、「AIは儲からず、AIビジネス向けの融資は回収が難しい」というものです。2022年11月にOpenAIが公開したChatGPTによってAIブームの代名詞となった生成AIは、文章や画像を生成する点が社会に驚きを与えました。一方、AIチャットは、無料版でも一定の品質の結果が得られるため個人利用では課金しないケースもあります。また、ビジネスで利用されていても、運用コストが大規模だと認識されにくい側面があると考えられます。 対して、AIインフラ・AI活用関連企業は、バブル否定派といえます。AIインフラサービスや、AIを活用したグーグルやYouTubeなどのインターネット広告を提供するアルファベットは、AIが売上高の増加に貢献し、AIへの需要に供給が追いつかない状況が継続しているため、設備投資額を増額すると述べました。つまり「AIは儲かる」との主張です。アルファベットが2025年11月に発表した新AIモデル「ジェミニ3」は、誰でもAIエージェントを作成できることが特長の一つです。 前述のプログラミングや医療、金融、働き方改革に加えて、インターネット広告やデジタル消費、ロボティックスなどでエージェントAIの活用がさらに進めば、半導体やソフトウエアなどのAIインフラへの投資拡大につながると考えられます。 エージェントAIの利用が拡大すれば、AIへの設備投資拡大は継続すると考えられます。2026年もAIがどのように進歩するかが注目されます。 生成AIとエージェントAIの比較 (注)「生成AI」は従来のAIと異なる「新世代のAI」の意味で引き続き使用される場合がある。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点