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04/08 15:53
【野村の夕解説】米国株高を受け、日経平均株価反発 354円高 (4/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前週末、注目の米雇用統計発表を無難に通過し米国株高となった流れを受け、本日の日経平均株価は前週末比399円高の39,391円で取引を開始しました。また、7日、パレスチナ自治区ガザ南部から大半の兵士を撤退させたとイスラエルが発表したことから、時間外取引でWTI原油価格が下落しました。米ドル高円安や原油安、中東情勢のひとまずの緊張緩和が好材料視され、日経平均株価は寄り付き後も上げ幅を広げました。一時前週末比625円高の39,617円まで上昇しましたが、時間外取引でさらに利回り上昇を続ける米国長期金利に投資家心理は冷やされ、その後の日経平均株価は上げ幅を縮小しました。後場に入ると39,300円近辺の狭いレンジで一進一退となり、結局前週末比354円高の39,347円と反発して取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 依然4%を上回って推移する米国の10年債利回りは、根強いインフレが追い風となり金利上昇となるか、インフレが鎮静化し、政策金利引き下げ期待から金利低下となるのか。原油価格の動向や米国での物価統計(CPI、PPI)の発表が注目されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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04/08 09:30
【銘柄特集】2024年3月IPO銘柄のパフォーマンスと4月IPO銘柄の紹介
2024年3月のIPO銘柄のパフォーマンスと、今後のIPOの予定を紹介します。 3月IPO銘柄のパフォーマンス 3月21日 上場 STG(5858)市場区分:グロース 事業内容: マグネシウム及びアルミニウムダイカスト製品の製造・販売 3月21日 上場 トライアルホールディングス(141A)市場区分:グロース 事業内容:小売、物流、金融・決済、リテールテックなど、各事業を中心とした企業グループの企画・管理・運営(純粋持株会社) 3月22日 上場 ジンジブ(142A)市場区分:グロース 事業内容:高卒就職採用支援サービス及び人財育成サービス 3月25日 上場イシン(143A)市場区分:グロース 事業内容:企業の自治体向けマーケティング支援事業、日系大手企業のグローバルオープンイノベーション支援事業、成長企業のブランディング及び採用支援事業 3月26日 上場 L is B(145A)市場区分:グロース 事業内容:フィールドワーカー向けビジネスチャット「direct」を中心とした現場DX サービスの開発・提供 3月26日 上場 ソラコム(147A)市場区分:グロース 事業内容:IoT プラットフォーム「SORACOM」の開発・提供 3月26日 上場 ハッチ・ワーク(148A)市場区分:グロース 事業内容:月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」、月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」の提供並びに貸し会議室サービス「アットビジネスセンター」の運営 3月26日 上場 JSH(150A)市場区分:グロース 事業内容:地方創生事業(障がい者雇用支援サービス、観光物産サービス)、在宅医療事業(精神科訪問診療コンサルティング・訪問看護サービス) 3月27日 上場 コロンビア・ワークス(146A)市場区分:スタンダード事業内容:不動産開発事業を単一セグメントとする不動産開発、不動産賃貸管理、ホテル運営 3月27日 上場 シンカ(149A)市場区分:グロース 事業内容:コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」の開発、販売及びその他関連する業務 3月27日 上場 ダイブ(151A)市場区分:グロース 事業内容:リゾートバイトに特化した人材派遣・人材紹介事業、宿泊施設運営事業、情報システム事業 3月28日 上場 カウリス(153A)市場区分:グロース 事業内容:法人向けクラウド型不正アクセス検知サービスの提供等 3月28日 上場 情報戦略テクノロジー(155A)市場区分:グロース 事業内容:大手企業向けDX内製支援サービス等 3月29日 上場 マテリアルグループ(156A)市場区分:グロース 事業内容:PR・デジタルを中心としたマーケティングコミュニケーション支援 3月29日 上場 グリーンモンスター(157A)市場区分:グロース 事業内容:体験型投資学習支援事業 (注)初値及び直近月末終値が公開価格に対して上回っているものは赤、下回っているものは青で表示。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報を基に野村證券作成 4月以降のIPO銘柄 4月4日 上場 アズパートナーズ(160A) 市場区分:スタンダード事業内容: シニア事業(介護付きホーム、デイサービス、ショートステイのサービス提供)及び不動産事業(介護付きホーム等の不動産開発、老朽化不動産の再生、マンション等の賃貸) 4月8日 上場 イタミアート(168A)市場区分:グロース事業内容:BtoB 向けEC サイト「キングシリーズ」等を通じたオリジナル大型セー ルスプロモーション商材の企画・制作・販売 4月11日 上場 ハンモック(173A)市場区分:グロース 事業内容:「IT 資産管理・セキュリティ対策」「営業支援・名刺管理」「AI による文字認識を活用したデータエントリー」に関する業務支援システム及びクラウドサービスの開発、提供 4月16日 上場Will Smart(175A)市場区分:グロース 事業内容:モビリティ業界を中心とした事業課題解決に対してDX 技術を駆使したソリューションの企画・提案、ソフトウェアの受託開発及び運用支援 4月24日 上場 レジル(176A)市場区分:グロース 事業内容:集合住宅への電力供給及び分散型電源の開発法人への再生可能エネルギーを主体とした電力供給エネルギー事業者へのBPO 及びSaaS の提供を通じたDX 支援 4月25日から5月2日のいずれかの日(上場日の4営業日前までに決定予定)上場 コージンバイオ(177A)市場区分:グロース 事業内容:培地(微生物や細胞の培養に用いる生育環境のこと)の開発・製造・販売及び細胞加工物の製造受託 (注1)TOKYO PRO Marketの新規上場会社は含まれない。(注2)全てを網羅しているわけではない。(出所)日本取引所グループのウェブサイト、各新規上場会社の有価証券届出書等公表情報をもとに野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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04/08 08:27
【野村の朝解説】米国株、利下げ期待後退でも大幅反発(4/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 4日の米国株式市場では、主要3指数が揃って反発しました。米国の3月雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数は前月比+30.3万人と市場予想(同+21.4万人)を大幅に上回りましたが、平均時給の伸びは前月比+0.3%と市場予想に一致し、前年同月比では前月から減速しました。米国経済の力強さを印象付ける結果だったものの、賃金の伸びが穏やかとなり、インフレ懸念の悪化につながらなかったことを受けて、米国株は反発して寄り付きました。市場の利下げ期待後退から米10年国債利回りが一時4.4%を窺うまで上昇したことはやや重しとなりましたが、その後も堅調推移となりました。 相場の注目点 米国ではこれまで、米国経済がソフトランディング(軟着陸)を達成し、インフレが減速するなかで年央にも利下げを開始するとの期待が株高を牽引してきました。しかし、足元では利下げ開始が後ずれするとの思惑から米10年国債利回りは上昇しており、インフレ動向を見極めるうえで、10日(水)の3月米消費者物価指数(CPI)が注目されます。欧州では11日(木)にECB金融政策会合が予定されています。6月の利下げ開始に市場の期待が収れんしつつあり、さらに地均しが進むのか注目です。 本日のイベント 本日は日本で2月毎月勤労統計が発表されます。日銀が3月にマイナス金利解除を決定し、現在の市場の焦点は追加利上げの有無にシフトしています。今回は春闘の結果が反映される前の2月分ではありますが、足元の賃金動向を確認するうえで注目されます。 (投資情報部 引網喬子) (注)データは日本時間2024年4月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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04/07 16:00
【テーマ銘柄】ダイナミックプライシングによる価格戦略
※画像はイメージです。 DP(ダイナミックプライシング)とは ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing、以下DP)とは、販売状況や季節要因によって変わる需要と供給の状況に合わせて、商品やサービスの価格を柔軟に変動させる価格戦略のことです。市況や天候、時期、販売状況などのビッグデータに基づいて、その時々の需給に合った適切な価格を算出し、繁忙期には価格を上げ、閑散期には値下げを行います。主に航空機のチケットやホテル・旅館などの収益の最大化や、機会損失を防ぐために用いられています。代表的な例としては航空業界では、運航の稼働率向上を目的として、搭乗日までの早めの予約に対して価格を割安に設定します。近年DPはテーマパークやホテル、スポーツ観戦、交通機関などの様々な事業で活用される範囲が広がっています。 (注)図はイメージ図(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 DPの活用事例の特徴 DPは古くよりホテルや運輸業など、部屋数や座席数などに明確なキャパシティーが存在し、コストに占める固定費の比率が高く、稼働率の向上や維持の優先度が高い業種で多く行われてきました。近年では、テーマパークやUber等のような宅配ビジネス、事業を行うにあたってのキャパシティーが明確ではない企業では、ピーク時等の需要が強い場合には値上げを行う等、需要に応じて価格をコントロールし、顧客満足度の向上と収益の最大化を図っています。 (注)全てを網羅しているわけではない。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 今後の価格戦略の動き 人手不足やインフレ圧力の上昇などを一過性の現象と考える企業は減少しており、DPを活用した価格戦略の強化が期待されます。また、これらに必要とされる緻密な需要予測と、適切な価格設定を自ら行うのが困難な企業に対して、ビッグデータ等を用いた価格戦略のノウハウを提供する企業も出現しています。今後は、こうした企業のDPを用いた価格戦略により、稼働率の上昇や収益最大化が期待されます。 ご参考:ダイナミックプライシング関連銘柄の一例 ■顧客満足度の極大化 コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579)夜間に飲料水「い・ろ・は・す」の値段を130円から120円へ値下げする自動販売機を導入した。今後は季節要因や立地による価格設定も検討する。オリエンタルランド(4661)2021年3月より、ディズニーランド及びディズニーシーにて入場チケットに変動価格制を取り入れ、ゲスト一人当たり単価の上昇効果が見られる。サンリオ(8136)2022年4月より「サンリオピューロランド」入場チケットに変動価格制を導入した。混雑期と閑散期の来場者数を平準化し、さらなる価値向上に努める。 ■明確なキャパシティーがある業種 東日本旅客鉄道(9020)2023年3月よりオフピーク定期券を導入し、電車のピーク時以外の運賃を、通常の定期券よりも引き下げた。日本航空(9201)搭乗日までの日数や予測残席数により、運賃の価格帯を3種類に設定している。国内の大手旅行サイトと提携をすすめている。ANAホールディングス(9202)搭乗日までの日数や予測残席数により、運賃が変動する運賃体系を設定している。国内の大手旅行サイトと提携をすすめている。エイチ・アイ・エス(9603)国内旅行を中心に、早期予約(出発から60日前)や長期滞在者に向けて特典付きのパッケージを開発した。 ■プライシングを提供するテック企業 東芝テック(6588)プライシングに特化したコンサルティング会社のハルモニア株式会社へ出資を行い、ダイナミックプライシングの普及につとめる。日本電気(6701)「NEHOPS」というホテル向けのDPシステムを提供している。AIによる客室価格の分析・算出等、ホテルの業務効率向上やITソリューションを展開している。 ((注)全てを網羅しているわけではない。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 新垣 雄) ご投資にあたっての注意点
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04/07 12:00
【野村の視点】デベロッパー大手4社、それぞれの「街づくり」の評価は?
Q:デベロッパー大手4社、それぞれの「街づくり」の評価は? 「街づくり」について、大手デベロッパー4社ともに違いがあると思いますが、三井不動産、住友不動産、三菱地所、野村不動産について、それぞれどのように評価していますか? A:各社、複合型の街づくり開発を評価 【三井不動産(8801)】開発コンセプトの一つに「ミクスドユース」があります。様々な用途の不動産を複合的に開発して、街づくりを行い、賑わいを創出し、街全体の不動産価値を高めます。例えば、豊洲・横浜・柏・船橋では、マンションと商業施設の「ららぽーと」やオフィスなどを作り、街の価値を高めました。都心では、「六本木ミッドタウン」や地盤の日本橋で、オフィス・商業・ホテル・サービスアパートメントなどの複合開発を行っております。三井不動産の今後の大規模再開発は、日本橋・八重洲・日比谷・神宮外苑などがあります。 【住友不動産(8830)】特徴は、小さなブロックを時間をかけて買い増ししながら大型ブロックに仕立て上げ、ビルを作ることです。街区を大きくすることで土地の価値が向上し、含み益を増大させます。都心では、大型ビルをつくる場合、地域によっては住宅を設置する義務が生じるケースがあります。また、ホテルを併設すると建築容積のボーナスが付与されることもあります。その場合、高級賃貸住宅の「ラトゥール」やホテル「ビラフォンテーヌ」との複合開発になります。イベントホール「ベルサール」をビル内に設けることもありますが、あくまでもオフィスビル開発が主体のため、単体ビル開発と評されることもありますが、最近では有明で、住宅・商業・ホテル・イベントホール・オフィスの街づくり型開発の実績もあります。また、住友不動産の次の大型開発は、森ビルとのJVで、第二六本木ヒルズとも言われる「六本木五丁目開発」です。大型、複合型の街づくり開発となります。 【三菱地所(8802)】特徴は、大丸有(大手町・丸の内・有楽町、所謂「丸の内」)エリアに保有する低層の築古ビルの建替えです。「丸の内」の街づくりに注力してきました。100年以上前から保有する土地を高度利用するため、土地への投資は不要でかつ土地の生産性を高める戦略です。ビルを高層化するにあたり、東京駅の空中権をJR東日本から取得し、「丸ビル」などへ移転したことがありました。また、丸の内といえども、住宅の付置義務がありますが、同じ千代田区の「番町」などに同規模以上の住宅を開発する「隔地住宅」制度を利用することで、丸の内のビルに住宅を付置することなく開発を進めることもできました。「丸の内」以外を「丸の外」と三菱地所は呼ぶことが多いのですが、「丸の外」では政府などによる大型の売却地を入札で取得し、開発するケースが多数あります。例えば、大阪駅北口の「大阪北ヤード開発」などがそれにあたります。三菱地所の今後の注目大型物件は、日本最高層になる予定の東京駅前の「大手町常盤橋プロジェクト:トーチタワー」です。 【野村不動産(3231)】郊外でマンションと商業施設の複合開発を行うこともありますし、現在は浜松町で「旧東芝本社ビル」跡地で大型のオフィス・ホテル・マンションの複合開発を行っております。また、日本橋において三井不動産とJVで大型複合開発を進めています。ただ、野村不動産の特徴は中規模ビルの開発にあります。都心では、中規模でありながら大型ビルと同等の高品質なオフィスビル「PMO(プレミアム・ミッドサイズ・オフィス)やサービス機能が付加された「H1O」、また飲食ビルの「GEMS」などを開発し、稼働を高めた上で、REITなどの不動産ファンドへ同物件を売却し、開発利益を稼ぎます。 (注)画像はイメージです。(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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04/07 09:00
【野村の視点】存在感を増すグローバルサウス、株価は追随するか?
※画像はイメージです。 中国のWTO加盟と資源国ブーム 中国は2001年12月にWTO(世界貿易機関)加盟を果たすと、対外開放政策を一層推進することにより対内直接投資・貿易の拡大を通じて国際分業体制に加わり、世界経済との結び付きを強めました。中国の資源需要増を背景に、資源価格が上昇し、資源国の輸出・設備投資の拡大によって資源国ブームが起きました。当時はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を筆頭に新興国の成長期待が高まり、新興国株が大幅に上昇しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 存在感を増すグローバルサウス 2000年代は中国のWTO加盟をきっかけとして新興国・資源国ブームが起きましたが、現在は米中対立やウクライナ紛争をきっかけに「グローバルサウス(※)」と呼ばれる国々の存在感が増してきています。なかでも2023年に中国を抜き人口世界一になると見込まれるインドへの注目度が高まっています。インド自身もグローバルサウスのリーダーを自認し、議長国を務める2023年9月のG20サミット(20ヶ国・地域首脳会議)を前に、23年1月には「グローバルサウスの声サミット」と題する途上国間のオンライン会合を開催しました。今後、グローバルサウスに対しては西側民主主義陣営と権威主義国双方からの資金援助・技術支援、直接投資が活発化し、高い成長ポテンシャルを現実化させていくと期待されています。 ※グローバルサウスとは、ウクライナ紛争をきっかけに先進国と権威主義国のどちらにも属さない中立的な立場の国・地域を示し、主に南半球を中心とする新興・途上国の総称。 (野村證券投資情報部 服部 哲郎) ご投資にあたっての注意点
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04/06 19:00
【来週の米国株】連戦連敗のNYダウ、「インフレ再燃」はどう確認する?(4/6)
※4月第1週より「今週の米国株」は毎週月曜日から、原則毎週土曜日への配信へと変更になります。来週の米国株投資戦略を見通しのヒントとして、ぜひご活用ください。 ※原稿執筆時点(日本時間5日12:00 ) 先週:インフレ再燃と中東情勢、2つの懸念高まる ※数値は3月29日(金)-4月4日(木)までの4日間 堅調な経済指標が続き、利下げ開始時期先送りが意識された上に、中東の地政学リスクの高まりからリスク回避的なセンチメントが浮上し、株価は下落しました。NYダウは4月に入り4営業日続落となっています。※ ※執筆時点 日本時間5日12:00 ISM製造業指数がサプライズ上振れ 株価下落のきっかけは、1日(月)に発表された3月ISM製造業景気指数が、1年半ぶりに好不況の分水嶺の50を上回ったことでした。特に仕入れ価格指数が前月から3.3ポイント上昇して55.8と、2022年7月以来の高水準となったことにあります。原材料などの投入コストが上昇したことが嫌気されました。 これまでのインフレ率低下は、自動車を中心とした「モノのインフレ」が沈静化したことが大きく影響してきました。しかし、人手不足などから賃金上昇率の伸びが続き、サービス価格のインフレ減速は遅れています。このため、市場はインフレ警戒感を高め、先物市場に織り込まれる6月利下げ確率は5割強まで低下し、年後半に利下げ開始が後ずれするとの見方が一段と強まりました。米長期金利(10年国債利回り)は3月28日(金)の4.20%から、4月2日(火)には4.35%まで上昇し、株価の下押し圧力となりました。 中東情勢が緊迫化 また中東情勢緊迫化も株価の下押し要因となりました。4月1日(月)にイスラエル軍の空爆によりシリアのイラン領事館が被害を受け、イラン側がイスラエルに対する報復を示唆する発言をしました。4日(木)にイスラエルのネタニヤフ首相がイランと断固戦う姿勢を表明したことで、中東情勢の緊迫化懸念が高まり、株価は下落しました。3月28日(金)終値で1バレル=83ドル台だったWTI原油価格は、4日(木)には一時1バレル=87ドルを超え、およそ半年ぶりの高水準となりました。地政学リスクとしての商品価格の上昇はインフレ懸念を高める一因となっています。 今週のポイントは2点です。 ①インフレ動向を確認、10日(水)のCPI インフレへの警戒を高めるパウエル議長 今週3日(水)にパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が講演を行いました。引き続き利下げに前向きなハト派的な姿勢が示唆されましたが、「雇用とインフレの最近のデータは予想を上回っている」点にも言及がありました。3月19日-20日の開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見や3月29日にサンフランシスコ連銀で開催されたイベントで示唆したトーンよりも、直近のデータに配慮する様子がうかがえました。 FRBがインフレ再燃への警戒感を高めていることから、来週は10日(水)の3月CPI(消費者物価指数)、11日(木)の3月PPI(生産者物価指数)がインフレ見極めのポイントとなりそうです。3月コアCPIは前年比+3.7%(2月は同+3.8%)と高止まりが予想されています。 米長期金利「5%」は、現状考えづらい 米長期金利(10年国債利回り)について、現在の4.2%-4.3%のレンジから上振れする可能性はありますが、 2023年10月に一時的に付けた5%台まで上昇することはあくまでリスクシナリオの位置づけです。 23年後半はインフレ懸念に加え国債の増発に対する懸念も高まっていました。しかし、その後財務省から国債の増発ペースを鈍化させる方針が発表されており、当面は国債増発に対する懸念が再度強まることは回避されると想定されます。 ②1-3月期決算発表、12日(金)の金融に注目 10日(水)から発表スタート 10日(水)のデルタ航空(DAL)等から米主要企業の2024年1-3月期決算発表が始まります。米企業業績が堅調さを示し、2024年4-6月期以降の増益基調の見通しが確認できれば、株式市場では今後の米国企業の業績拡大を織り込み、上昇基調に復帰すると予想されます。注目は12日(金)に集中する金融機関決算です。同日にブラックロック(BLK)、シティ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、ステート・ストリート(STT)が発表を予定しています。 金利の逆風を乗り越えられるか 米金融セクターは、業界全体としては金利環境の逆風が続いています。米国では未だ逆イールド(短期金利が高く、長期金利が低い状態)であり、一般論として銀行は短期金利で資金を調達し長期金利で運用するモデルため、逆イールド下では不利となります。金融セクターに投資するうえでは、個別企業ごとの調達環境と運用環境、また金利以外のビジネスに関する業績動向の確認が必要でしょう。2024年を通して、金利がより長期間にわたり高水準に維持される、貸出の伸びが鈍化する、量的引き締めの圧力がかかる、与信コストが上昇する、といったリスク要因が考えられます。こうした逆風が吹く環境は当分続く可能性が高いため、目先は各銘柄固有の議論に注目したいと考えます。また、米地銀セクターなどに預金流出など資金繰り悪化といった話題が出やすい点にも注意が必要です。 (FINTOS!外国株 小野崎通昭) ご投資にあたっての注意点 野村オリジナル記事の配信スケジュール
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04/06 16:00
【注目トピック】米国株決算では増益率が加速するかに注目
※画像はイメージです。 米国:2024年1-3月期決算プレビュー 1-3月期は前年同期比+3.5%予想 4月中旬から、S&P 500 指数構成企業の2024年1-3月期の決算発表が本格化します。2024年3月28日時点の調査会社LSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均では、同期の四半期EPS(1株当たり利益)は、前年同期比+3.5%と予想されていて、2023年10-12月期の同+7.5%と比べ、増益率が鈍化する見込みとなっています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 2023年10-12月期は、2023年12月22日時点の集計では同+2.9%と予想されていましたが、決算実績が事前のアナリスト予想平均を上回るポジティブサプライズの比率が純利益については76.3%となったことで、実際には同+7.5%まで拡大しました。同様の傾向が続けば、2024年1-3月期も、現時点での予想よりは高い増益率となる可能性は高いと考えられます。 アナリスト達は慎重に見直している模様 リビジョンインデックスの動向をみると、2024年3月27日時点では、FY1(予想1期目)は0.98、FY2は1.18となっています。 2024年1-3月期の決算発表を前に、アナリスト達は2024年12月期の業績予想を慎重に見直しているとみられます。 決算発表時の注目点 年度ベースでのEPSをみると、2024年は前年度比+9.7%と、2023年度の+1.5%から増益率が拡大すると予想されています。 2023年度は年前半が減益局面だったこともあり、前年比微増益でしたが、2024年度以降は、米企業業績は拡大基調となり、過去最高益を更新していくと予想されています。米国企業が、独自の技術力やビジネスモデルで中長期的に業容を拡大していくことが、業績予想に織り込まれていると推察されます。 今後、2024年1-3月期決算の発表が本格化した際には、足元の業績動向に加え、2024年4-6月期の会社業績見通しや、前回、2023年10-12月期決算の際に示した2024年12月期通期の会社業績見通しの修正動向を確認したいと考えます。そして、経営陣のコメントなども含め、2024年度以降、過去最高益を更新していくというアナリスト予想平均の確からしさについて、チェックしていきたいと考えます。 (野村證券投資情報部 村山 誠) ご投資にあたっての注意点
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04/06 12:00
【オピニオン】日経平均株価、バリュエーションを再点検
※画像はイメージです。 2023年末、33,464円で終えた日経平均株価は年初より上昇スピードを速め、2月22日には1989年末の史上最高値38,915円(終値ベース)を更新、3月4日には初めて40,000円台に到達し、その後も押しを入れながらも堅調な推移をたどっています。年初来7,000円、20%を超える上昇となっており(3月27日時点)、株価水準の妥当性に関する議論が高まりつつあります。本稿では、PER(株価収益率)の観点から日経平均株価の水準について確認してゆくことにしましょう。 【ヒストリカル】‥日経平均株価の予想12ヶ月後EPS(1株当たり利益)ベースのPERは2010年代前半以降、永らく12~14倍のゾーンでの推移が続いてきました。年初来株価が急上昇した結果、2024年3月末時点でのPERは17倍と、(ここ10年前後という)ヒストリカルな観点からは割安とは言い難い状況と言えるでしょう。 【相対比較】‥先進国・地域間の相対的なPER水準を比較すると、我が国の17倍に対し、米国(S&P500)22倍、欧州(STOXX欧州600)14倍となっています。成長性/収益性に優れた米国のPERが図抜けて高く、日本、欧州が続く形になっています。 まとめると、現在の日経平均株価のPERは、もはや上昇局面入り前の、ヒストリカル/先進国・地域間比較いずれでも著しく割安な状況とは言えない状況です。しかし、1989年当時のように一般的な投資のフレームワークで説明が難しい状況には程遠く、欧米諸国よりもかなり強い短期的な業績モメンタムや、昨年度より企業が取り組み始めた(東証の要請に基づく)企業の収益性/資本効率向上への期待感などで十分に説明のつく範囲のPER上昇と考えられます。 【上値余地はあるか?】‥日経平均株価の2024年度予想EPSは、2024年3月末時点で前年度比+8.1%増となっています(下左表)。この予想EPSの伸び率が今後さらに高まることが、(必須条件というわけではないものの)日経平均株価の更なる上昇のサポート要因となると思われます。2024年度の日本企業を取り巻く環境は、年度末に向けてしり上がりに生産活動が回復し、物価もプラス圏での推移が続くことから緩やかな交易条件の回復が見込まれます(下右図)。年度を通じての持続力はともかく、2024年7-9月期以降は、瞬間風速で前年同期比2桁台の経常増益となる公算が大きいと考えられます。 現在の日経平均株価は、今以上のPERの上昇を前提にしなくても十分に上値を追える状況にあると言えるでしょう。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ご投資にあたっての注意点