新着
484件
-
07/07 12:00
【野村の視点】米国株の季節性:セル・イン・メイはもう古い?
(注)画像はイメージ。 株式市場には、「セル・イン・メイ(5月に株を売り9月に買いなおせ)」、「夏枯れ(夏は株価変動が小さく流動性が低下する)」といった夏季の格言があります。株式市場の夏のパフォーマンスが良くなかったことからできた格言です。 一方で、米国の大型株指数であるS&P500の7月の騰落率は2015年から2023年まで9年連続でプラスで、平均でも11月に次ぐ高い上昇率です。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 過去からの変化としては、「シントラ会議」=ECB(欧州中央銀行)主催の中央銀行フォーラムが、欧州ソブリン危機を受けた2014年から毎年5~7月にポルトガルのシントラで開催されるようになったことが挙げられます。2015年のシントラ会議では、クーレECB理事(当時)が、「夏季休暇シーズンによる流動性低下に対応して債券購入額を増やす」と発言しました。 S&P500の7月の好調がシントラ会議のおかげかはわかりませんが、中央銀行の動向には注目すべきと考えます。 (注)データは月次で、直近値は2024年5月時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 竹綱 宏行) ご投資にあたっての注意点
-
07/07 09:00
【オピニオン】頭の片隅に:米国の自然利子率を再考する
※画像はイメージです。 欧州中央銀行(ECB)が主催する国際金融会議である「ECBフォーラム」が7月1-3日にポルトガルの景勝地であるシントラで開催されました。主として金融を巡るテーマを議論する会議で、米カンザスシティ連銀がワイオミング州のジャクソンホールで毎年8月に開催する経済政策シンポジウムのECB版です。 主要中央銀行の総裁も出席して意見を述べるため、注目を集めますが、今年もパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長やラガルドECB総裁がパネルディスカッションに参加して、意見を表明しました。いずれも、「インフレが十分に減速するにはもうしばらく時間がかかるが、ディスインフレの軌道に戻りつつある」との趣旨を述べ、市場に相応の安心感を与えました。 一方、こうした会議では中長期のテーマも取り上げます。今年は「均衡利子率」についてディスカッションが行われ、米NY連銀のウィリアムズ総裁も参加し、持論を披露しました。「均衡利子率」は「自然利子率」と同義ですが、経済・物価に対して引き締め的にも緩和的にも作用しない「中立的な実質金利水準」のことを指します。「完全雇用のもとで貯蓄と投資をバランスさせる実質金利」の水準として定義されます。同総裁は、従前、均衡利子率の推計を行ってきており、このテーマを主導する一人と言えます。 今回のフォーラムでの同総裁の発言のポイントは以下の通りです。①過去30年間、均衡利子率、中立金利は低下傾向にある。②重要なのは均衡利子率の推計には高い不確実性があることを踏まえ、金融政策の決定におけるその役割を重視すべきではないことである。③均衡利子率が大幅に上昇したとみるには、欧州と米国の間で均衡利子率に関する証拠が一致していないこと、潜在成長率の上昇を示す有力な証拠がないこと、という2つの重要な基準をクリアーする必要がある。 FOMC(米連邦公開市場委員会)が四半期毎に公表している経済見通しによれば、2024年6月時点での(名目)長期均衡政策金利は2.75%となっています。インフレ目標は2.0%ですから、長期実質均衡政策金利は0.75%とみなしていると思われます。本来の均衡利子率はもっと高いのではないか、あるいは最近、上昇しているのではないか、との意見も多く見られます。なお、パウエルFRB議長は今回のフォーラムにおいて、失業率と欠員率の関係を示すベバリッジ曲線に言及した上で、求人数がさらに減少すれば失業率が急上昇するリスクがあると示唆しています。こうした構造的要因の変化にも注目しながら、均衡利子率の議論に注目する必要があります。 目先の金融政策に影響を与えるわけではありませんが、均衡利子率の考え方には潜在成長率、インフレ目標等の在り方も含まれますので、市場の金利水準の目線に影響を及ぼすと考えられます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 ご投資にあたっての注意点
-
07/06 19:00
【来週の米国株】「年前半大幅上昇なら年後半も上昇」は本当か? (7/6)
※執筆時点 日本時間5日(金)12:00 今週:インフレ懸念後退で株高 ※6月28日(金)-7月3日(水)3営業日の騰落。4日(木)は独立記念日の休場 今週の米国株式市場は、主要3指数が揃って続伸しました。ISM景況指数が製造業、サービス業ともに経済活動の拡大縮小の境目となる50を下回りました。インフレと金利上昇による株価への下押し懸念が後退し、株価への追い風となりました。主要3指数の中では、景気鈍化の影響よりも金利低下の恩恵が大きいと考えられるナスダック総合の上昇率がS&P500、NYダウの上昇率を上回りました。 24年前半を振り返ると「利下げ期待後退でも株高」 2024年の上半期(1月-6月)を振り返ると、S&P500は2023年末比+14%、NYダウは同+4%、ナスダック総合は同+18%と3指数揃って上昇しました。 年初に4%前後だった2024年末のFF(フェデラル・ファンド)金利先物は、6月末には5%前後まで上昇しました。年内利下げ回数に関する市場の織り込みが年初の6回前後から、6月25日時点で2回前後まで縮小したように、この半年間に「利下げ期待後退」の局面をたびたび経験してきました。特に、2024年4月には「利下げ期待後退&株安」場面も多く見られました。しかし俯瞰してみると、2024年初の米国10年国債利回りは3.8%だったのが6月末でも4.4%と年初の水準から上昇している一方、S&P500も年初の4742から6月末時点で5460へ上昇と、半年単位では株高・金利上昇となっています。景気・業績が良好で、金利が上がった、あるいは金利上昇でも景気・業績は改善基調を維持できるほどファンダメンタルズが堅調という点に帰着すると考えられます。 「年前半大幅上昇なら年後半も上昇」は本当か? 過去、S&P500指数が年前半大幅上昇だったケースをみると、年後半も堅調な動きとなるケースが多く見られました。 特に1990年以降において、年前半に10%以上上昇した10回のケースについては、年後半もすべてのケースで上昇し、上昇率は平均で10%を超えています。 24年下期ならではの要素には注意 とはいえ、必ずしもアノマリー通りとはいかないのが株式市場です。見通しを難しくしている一つの理由は、S&P500に占めるマグニフィセント7の存在感が高まったことで(時価総額ウェイトは約25%)、マグニフィセント7とそれ以外の乖離が大きくなっていることです。年初来のS&P500の上昇(約+15%)もマグニフィセント7の寄与度が約+10%で、残りの493銘柄だけだと約+5%にとどまります。バリュエーション面でも、S&P500の12ヶ月先予想PERは21倍ですが、マグニフィセント7だけで見ると33倍、マグニフィセント7を除くと18倍と大きな格差があります(以上6月25日時点)。ミクロの、マクロへの影響の大きさという点においてこれまでにない環境であり、その意味で来週末から始まる4-6月期決算発表の重要性は高まっています。 そのほか米大統領選をはじめとした世界の政治動向も、今年ならではの注意点といえるでしょう。 S&P500の24年末予想は5000~6200 今後のFRB(米連邦準備委員会)による利下げ開始、米国景気の軟着陸という環境が予想されるもとで、ゴルディロックス(適温)相場の継続が意識されやすいと考えられます。このため、米国株は期待リターン(配当込み)と試算される+6~8%前後のパフォーマンスを想定しやすいと想定しています。 先行きの景気拡大の継続とEPS(一株当たり利益)拡大に沿った展開を念頭に、2024年末のS&P500を5600(レンジは5000~6200)、2025年末のS&P500を5900(レンジは5200~6600)と予想しています。 来週:半期に一度のパウエルFRB議長議会証言に注目 日米の金融政策に引き続き注目が集まる中、米国では9日(火)及び10日(水)にパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われます。今後の金融政策や銀行の資本規制などが議題に上がると見られます。 経済指標では、11日(木)に6月消費者物価指数(CPI)、12日(金)に6月生産者物価指数、7月ミシガン大学消費者マインド速報値が発表されます。コア(食品・エネルギーを除く)CPIが鈍化すれば、年内の利下げ開始に向けた後押し材料になると見られます。 (編集:野村證券投資情報部 小野崎 通昭) ご投資にあたっての注意点 要約編集元アナリストレポートについて 野村オリジナル記事の配信スケジュール
-
07/06 09:00
【注目トピック】リビジョンインデックスは再度加速局面へ
※画像はイメージです。 日本:2024年4-6月期決算プレビュー 2024年4-6月期決算発表が始まる 2024年4-6月期決算の発表が7月下旬より本格化します。2024年6月末時点での、ラッセル野村Large Cap(除く金融)のコンセンサス予想は、3.8%増収(前年同期比)、同6.7%営業増益となっています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の四半期・増収率および営業増益率、経常増益率の推移。(注2)2024年1-3月期までは実績値、2024年4-6月期は、2024年6月28日時点のQUICKコンセンサス予想が存在する企業のみで集計している。(注3)2022年1-3月期以降はソフトバンクグループを集計から除外している。2024年1-3月期以降はさらに公益セクターに属する企業を除外している。(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成 2024年1-3月期に比べ、売上、営業利益ともにやや減速する予想となっていますが、我が国においては、余程の突発的事象が期末に起きない限り、四半期実績は市場コンセンサスを上回って着地しています。 企業業績を取り巻く環境の良し悪しにかかわらず、概ね5割台半ば~6割台半ばの企業が事前の市場コンセンサス予想に対して上振れて着地し、結果的に集計した業績も数%ポイント上振れています。 加えて、今回は4~5月にかけて公表された保守的な会社側見通しの影響を受け、アナリスト予想(≒市場コンセンサス)も保守的となっている公算が大きいことから、ここで示したコンセンサス予想を下限と考えておいて差し支えないと思われます。 期初は伸び率下方修正のスタートだった 4~5月の決算発表シーズンに同時に発表された期初時点の会社側(経常増益率)見通しは、ラッセル野村Large Cap(除く金融)ベースで前年度比-0.7%と保守的でした。 (注1)上図はラッセル野村Large Cap(除く金融)の、2023~2025年度予想経常利益額の、3ヶ月ごとの修正動向。直近は、2024年6月3日時点。予想は野村證券エクイティ・リサーチ部による。(注2)下表は、野村證券エクイティ・リサーチ部による前回(2024年3月1日時点)と今回(2024年6月3日時点)における予想経常増益率の比較。会社見通しは2024年6月3日時点。2024年4-6月期以降の為替前提は1米ドル=150円。(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部/市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成 これを受け、2024年6月3日に取りまとめられた、野村證券のアナリストによる2024年度予想経常増益率は同5.0%にとどまり、3月1日時点の同5.7%から、(予想利益額こそわずかながら上方修正となったものの)伸び率は下方修正となりました。 一方、会社側の見通しが存在しない2025年度予想については、アナリスト予想は実額、伸び率ともに明確に上方修正されています。(2024年度の)アナリスト予想が、4~5月にかけていかに会社側見通しに影響を受けていたかが間接的にうかがえる内容だったといえるでしょう。 本決算シーズンはRIが悪化しやすい 4~5月にかけて、リビジョンインデックス(RI)が悪化するのは今回に限ったことではありません。下図にあるとおり、過去10年間では過半を大きく超える確率で、①それまでRIがプラス圏(=上方修正が優勢)で推移していたにもかかわらず、②決算シーズンがスタートすると急速にRIが悪化していることが見て取れます。 (注)ラッセル野村Large Cap(除く金融)の週次のリビジョンインデックスの推移。2014年~2024年の2月~8月の推移を示している。2月月初時点でリビジョンインデックスがマイナスであった、2016年、2019年、2020、2023年は表示していない。2024年の直近値は2024年6月28日時点。(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 明らかに、事前のアナリスト予想に比較して、相対的に保守的な新年度の会社側見通しに影響を受けて、下方修正件数が増加していることが確認できます。 なお、決算シーズンが終了し、会社側からのニュースフローが減少すると、RIは速やかにそれ以前の水準に戻ります。今回も例外ではなく、足元(6/28)のRIは+15.2%となっており、業績モメンタムが非常に強いことがうかがわれます。 注目されるアナリスト予想の行方 蛇足ですが、足元でRIがプラス圏に復帰したのは、もっぱらアナリストの判断によるもので、会社側見通しの(期初見通しからの)修正を受けたものではないと見られます。4-6月決算発表時には、通期に対する経過時間の比率が低いことから、通期見通しを修正してくる会社は極めて少数(構成比で2割未満)です。 そのため、4-6月期の決算シーズンではアナリストによる通期業績の修正動向に目が向くことでしょう。前述のとおり、6月3日に取りまとめられた2024年度の予想経常増益率は前年度比+5.0%にとどまりました。ただ、当時使用していた前提、150円/米ドル、生産は前年度比1.68%増、に基づきトップダウン試算すると同10.3%の増益という結果となります。 足元では当時に比べ、生産はやや下振れ(同+1.2%)、為替は逆に円安方向に振れています。両者が相殺する形となり、現在でも同10%前後の経常増益が期待できます(下図 淡灰色のセル参照)。アナリストによる新予想がこの試算にどれだけ近づくかが注目されます。 (注1)鉱工業生産および、米ドル円レートを2024年3月1日時点のモデルケース(薄赤色のセル)から変化させた場合の2024年度ラッセル野村Large Cap(除く金融)の推計経常増益率(前年度比)。モデルケースは、鉱工業生産が前年度比+1%、為替は1米ドル=145円前提に基づくラッセル野村Large Cap(除く金融)のアナリスト予想経常増益率+5.7%(前年度比)。(注2)2024年6月3日時点の野村證券経済調査部による2024年度の鉱工業生産予想は前年度比+1.68%。アナリストが業績予想に使用する米ドル円レート前提は1米ドル=150円。(注3)1米ドル当たり1円の円安で0.4%弱、1%の鉱工業生産増で3%強、経常利益が増加する前提で試算を行っている。(出所)野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点
-
07/06 07:00
【来週の予定】パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言
来週の注目点:パウエルFRB議長の議会証言、米CPI、東京都知事選 日米の金融政策に引き続き注目が集まる中、米国では9日(火)及び10日(水)にパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長による半期に一度の議会証言が行われます。今後の金融政策や銀行の資本規制などが議題に上がると見られます。 米国の経済指標では、11日(木)に6月消費者物価指数(CPI)、12日(金)に6月生産者物価指数、7月ミシガン大学消費者マインド速報値が発表されます。コア(食品・エネルギーを除く)CPIが鈍化すれば、年内の利下げ開始に向けた後押し材料になると見られます。 日本では、7日(日)に東京都知事選挙の投票日を迎えます。今後の都政のみならず、その後の自民党総裁選、衆議院選挙などにも影響を与えると見られるだけに、注目が集まります。 日本の経済指標では、8日(月)に5月毎月勤労統計が発表されます。24年春闘の反映が進むことで、24年5月の現金給与総額(1人当たり賃金)は、前年同月比+3.2%(市場予想は同+2.1%)と、4月(同+1.6%)から大幅に加速したと野村證券では予想します。他方、8日(月)発表の6月景気ウォッチャー調査では、街角景況感(景気の現状判断DI)は、前月から悪化したと予想します(市場予想は小幅改善)。6月の円安の進行が景況感を悪化させた可能性があります。 中国では、12日(金)に6月貿易統計が発表されます。中国元安の進行に伴う価格競争力の向上や、世界的なテクノロジーセクターの持ち直しなどを受けて、中国の輸出は堅調に推移すると予想します。 欧州では、7日(日)にフランス下院議会選挙の決選投票を迎えます。極右政党の国民連合(RN)が躍進した場合には、財政悪化やフランス国債の格下げ懸念などが高まり、ドイツ国債とフランス国債の金利差の拡大や欧州株安、ユーロ安につながる可能性があります。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年7月5日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
-
07/05 16:27
【野村の夕解説】日経平均株価、小幅安 取引時間中の最高値更新(7/5)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 昨日の米国市場は、独立記念日の祝日で休場でした。欧州市場では、フランスなどの財政問題を巡る過度な懸念が後退したことが株式市場の支えとなり、主要国の株価は軒並み上昇しました。この流れを受け、本日の日経平均株価は前日比95円高の41,009円で取引を開始しました。主力株の上昇を背景に日経平均株価は寄り付き直後に一時前日比200円近く上昇し41,100円台を付け、取引時間中の最高値である3月22日の41,087円を一時上回りました。外国為替市場では、本日夜発表の米国雇用統計が弱い内容になり、日米の金利差が縮小するとの市場の見方が広がりました。これを受け、12時台には一時160円50銭台まで円高米ドル安が進みました。日経平均株価は後場から一転し下げに転じ、連日の大幅な上昇を受けた利益確定のような動きもみられ、一時前日比166円安となりました。その後は下げ幅を縮小させ、大引けでは前日比1円安の40,912円となり、本日の取引を終えました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日米国では6月の雇用統計が発表されます。また来週9日(火)はパウエルFRB議長の半期議会証言が予定されているほか、11日(木)は6月米消費者物価指数が発表されます。当面は、FRB高官の発言や経済統計の結果から、FRBによる利下げ開始時期を見極める展開が続きそうです。 (野村證券投資情報部 清水 奎花) ご投資にあたっての注意点
-
07/05 12:00
【今週のチャート分析】日経平均株価、上昇に弾み、終値ベースで史上最高値更新
※画像はイメージです。 ※2024年7月4日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 本格的な上昇トレンドの形成となるか注目 今週の日経平均株価は、米株高や円安進行を好感し、大幅上昇となり、7月4日には終値で40,913円まで上伸しました。また、TOPIXが約34年半ぶりに史上最高値を更新しました。 チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、6月25日に75日移動平均線(7月4日:39,005円)を上抜けし、26日には5月20日高値(39,437円)を超えて、チャートの好転が鮮明となりました。その後、7月4日に終値ベースでみた史上最高値(3月22日:40,888円)を上回っており、上昇に弾みがついています。 25日移動平均線が75日線を下から上に上抜けるゴールデン・クロスもみられており、この先、取引時間中の史上最高値(3月22日:41,087円)を超え、本格的な上昇トレンド形成となるか注目されます。 一方で、目先の上値が重く再度押しを入れる場合、25日移動平均線(7月4日:39,074円)や75日線(同:39,005円)が下支えとなることが期待されます。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年7月4日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 次に中長期的な動きを確認してみましょう。今年3月高値形成後の調整を振り返ると、4月安値にかけての下落によって値幅調整が概ね十分となり、その後の保ち合いを経て日柄調整も進展していました。 今回の大幅上昇は、値幅や日柄面の調整をこなした後の動きであり、本格的な上昇トレンドに回帰してきた可能性が高いと考えられます(図2)。 (注1)直近値は2024年7月4日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 TOPIX 34年半ぶり史上最高値更新、新たなステージへ TOPIXは、今年7月4日に1989年12月につけた平成バブル時の高値を上抜けし、34年半ぶりに史上最高値を更新しました。今年に入り史上最高値を更新した日経平均株価に続き、TOPIXも高値を更新したことで、日本株は名実ともに新たなステージに入ったと言えます。 TOPIXの長期月足チャート(図3)をみると、昨年以降の大幅上昇によって、1990年代から約30年続いた長期上値抵抗線を明確に上放れしていることが見て取れます。上放れしたことで、10年を超える超長期トレンドが上向きとなったと捉えられます。 (注1)直近値は2024年7月4日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 次に週足チャート(図4)で、2~3年の中長期的なトレンドについてみてみましょう。TOPIXは足元で昨年1月安値(1868.15pt)を起点とする、中長期上昇相場を形成中です。昨年1月安値からの上昇率は、55.2%(7月4日時点)となっていますが、前回の中長期上昇局面(20年3月~21年9月)の上昇率(71.4%)に達しておらず、今後も上昇余地があると考えられます。 この先、まずは、心理的フシの3,000ptを目指す動きとなることが期待されます。尚、前回の中長期上昇局面の上昇率(71.4%)を、今回に当てはめて試算すると、3,202ptと試算されます。 (注1)直近値は2024年7月4日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)JPX総研より野村證券投資情報部作成 このように超長期トレンドが上向きと考えられる中、前回の中長期上昇局面と比較して上昇余地があるとみられ、今回の史上最高値更新は通過点となる可能性が高いと考えられます。 (野村證券投資情報部 岩本 竜太郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
07/05 08:28
【野村の朝解説】米国は休場、欧州株は総じて堅調(7/5)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 4日の米国市場は、独立記念日の祝日で休場でした。欧州市場では、主要国の株価は軒並み上昇しました。7月7日に予定されているフランス国民議会(下院)選挙(第2回投票)で、ルペン氏が率いる極右政党、国民連合の議席数が過半数に届かない見通しが世論調査で示されました。財政問題を巡る過度な懸念が和らぎ、フランスCAC40は前日比+0.83%、ドイツDAXが同+0.41%とそれぞれ続伸となりました。4日に実施された英国総選挙ですが、14年ぶりとなる政権交代の可能性が高まっています。投票は日本時間5日午前6時に締め切られ、早ければ午前中にも大勢が判明する見通しです。 相場の注目点 米国では本日、6月の雇用統計が発表されます。3日に発表された6月ADP全米雇用リポートでは、非農業部門雇用者数が前月差+15.0万人と、市場予想(同+16.5万人)を下回り、労働需給の緩和が示唆されました。これを受け、FRBによる早期利下げ期待が強まり、米国10年国債利回りが低下し、ハイテク関連株を中心に株価が上昇しました。本日発表される6月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月差+19.0万人と、5月の同+27.2万人から伸びが鈍化すると市場で予想されています。来週は、パウエルFRB議長の半期議会証言(9日)が予定されている他、6月米消費者物価指数(11日)が発表されます。当面は、FRB高官の発言や経済統計の結果から、FRBによる利下げ開始時期を見極める展開が続きそうです。 本日のイベント 日本では、5月全世帯家計調査、5月景気動向指数が発表されます。その他、安川電機が2024年3月-5月期の決算を発表します。同社の決算は、7月下旬から始まる日本の製造業の決算動向を占う上で重要です。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2024年7月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
-
07/04 19:00
【銘柄特集】配当利回りが魅力的かつ、業績と流動性の不安が少ない銘柄(7/4)
(注)画像はイメージ。 業績や流動性の面で不安が少ない高配当銘柄をスクリーニング 配当金は、企業の価値(株価)を決める重要な指標であり、株式投資の魅力のひとつです。配当利回りは、投資した金額に対して受け取れる予想配当金の割合を示したもので、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)と同様に、株価が割安か割高かを判断するための指標でもあります。 予想配当利回りが高ければ高いほど、少ない投資額で受け取れる配当金は大きくなります。ただし、配当の源泉は企業利益であるため、対象企業の業績悪化により減配・無配となってしまうケースもあります。 以下の表では、2024年6月26日の株価・データをもとに、業績や流動性の面で不安が少ないと考えられる銘柄の中から、通期配当利回りが高い銘柄を抽出しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注)諸般の事情により特定の銘柄をリストから削除している場合がある。HDはホールディングス。MS&ADはMS&ADインシュアランスグループホールディングス。株価、業績予想数値、レーティングはいずれも2024年6月26日時点。1株当たり配当の予想は東洋経済新報社で予想値がレンジの場合、下限値。その他の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部。PERは2024年度基準。PBRは直近実績基準。ROEは2024年度予想税引き利益と、直近実績の自己資本額の比率。経常増益率は、野村證券予想に基づく2024年度経常増益率。ソフトバンクは2024年9月30日を基準日として1:10の株式分割を行う予定。1株当たり配当は株式分割調整後の数値。(出所)東洋経済新報社、野村證券市場戦略リサーチ部、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 エクイティ・コンテンツ課) ご投資にあたっての注意点