2023年4月(4月3日~4月28日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家が買い越した。売り越した投資部門は、信託銀行、証券自己、個人投資家などだった。

海外投資家は現物と先物の合計で3兆360億円を買い越した。現物の買い越し額は2兆1,511億円であった。海外投資家は4月に買い越しやすい季節性があるが、これを踏まえても金額が大きい。ヘッジファンドが株式配分比率を高めている可能性がある。先物は8,849億円を買い越した。米金融不安が沈静化したことに加えて、日本銀行が4月会合で政策修正を行う可能性を高める材料がなく、中国経済持ち直しを材料とした取引が再開したと見られる。

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信託銀行は9,505億円を売り越した。年初からの売り越し額は1兆7,453億円に達した。株高を受けて年金基金が資産配分調整を目的とした売りを行ったと見られる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の22年12月末時点の資産構成割合と各資産の値動きを踏まえると、4月末までにGPIF だけで約1.8兆円の国内株式の資産配分調整のための売り余地があったと見られる。

個人投資家は6,590億円を売り越した。株高を受けて利益確定売りを行ったと見られる。個人投資家の資金が含まれる投資信託も3,290億円を売り越した。

証券自己は8,029億円を売り越し、3カ月ぶりに売り越しに転じた。上述した海外投資家の買い越しに相対した結果と見られる。

(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年5月22日号「株式需給」より

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