Q:中国消費、回復余地のあるテーマは?

中国の消費回復に向けた期待感が高まっていますが、まだ回復の余地があると思われる分野はなんでしょうか?また、コロナ禍前後で消費行動に変化が見られた分野がもしあれば、その詳細も教えてください。

A:2つの回復分野に注目、EVシフトは不可逆か

年初来少しずつ正常化している部分を含めて以下のような特徴があると考えます。

(1)活動半径の縮小。

オンライン会議の普及による出張の減少と長距離旅行の調整(所得増加ペースの鈍化による影響)がまだ残っています。1-3月期は短距離移動(大都市の地下鉄旅客輸送量)がコロナ禍前を超えましたが、長距離旅客輸送量(国鉄+飛行機)はまだコロナ禍前より15%程度萎縮しています。この部分は今後正常化するものと考えます。

(2)大衆消費の弱さ。

大都市での雇用吸収力の弱体化により、都市部への人口移動の減速、低所得者層の(接触型サービス部門での)雇用環境の悪化が見られています。従って富裕層の消費の伸びはコロナ第一波以降すぐ回復したものの、中低所得者層の消費は伸び悩んでいます。大都市での失業率はまだコロナ禍前より高水準ですが、年初来緩やかな改善方向にあります。

今後は都市化の再加速と接触型サービスの雇用環境改善と共に、クィックファッション等メインストリームゾーン消費の加速が期待されます。その他に、一時的に過度に落ち込んだ結婚・出産行動も増加することが期待されますので、乳幼児用品等関連消費は(来年以降になりますが)回復余地があります。

(3)自家用車保有意欲の高まり。

非接触の移動手段として重視されており、ナンバープレート取得が簡単なEV車の普及が2022年に加速しました。 EV車は40歳代までの年齢層に受けが良く、EV車に慣れたらガソリン車に戻れなくなるとも言われています。ただし、昨年は減税による需要の先食いがあったため、今年の中国国内の乗用車販売全体は伸び悩む可能性があります。

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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