Q:米債務上限問題は、円高・株安を引き起こすか

米国の債務上限問題は、米国債の格下げというリスクを孕んでいます。もし格下げが現実化すれば、米国の金融機関や非金融機関の民間部門の財務状態に悪影響を及ぼし、さらに深刻な景気後退の危険性を増大させる可能性があります。また、円高・ドル安、株安といったリスクも潜んでいると考えられます。実際はどうなるのでしょうか。

A:デフォルトが1ヶ月続いた場合、株価は30%、ドルは10%下落するとの試算も

米債務上限問題を巡るリスクとしては、①米国債のテクニカル・デフォルト(技術的債務不履行)リスクと②米国債の格下げリスクがあります。

仮に米国債が格下げとなった場合は株安、短期金利上昇、長期金利低下、円高・ドル安となるとの想定は合理的だと考えますが、長期金利のリアクションや景気への影響は時々の状況にも大きく左右されると考えられます。実際、2011年に初めて米国債が格下げされた際は長期金利は低下しました。

また、2011年のケースでは格下げしたのは1社だけですが米国債を用いた様々な金融商品・取引においては参照する格付け機関のうち2社以上の格付け変更を要件とするなど条件が異なることも念頭に置いておく必要があります。

また、万が一テクニカル・デフォルトとなった場合は、その期間も重要でしょう。2013年にFRBが行った試算では、デフォルトが1ヶ月続いた場合、株価は30%、ドルは10%下落するとの結果になりました。

(解説:野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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