米中の経済指標下振れを受け、上値の重い展開に

先週末(5月26日)の米国株は、半導体大手の好決算を受けて生成AI関連銘柄の物色や、米連邦政府債務法定上限問題進展への期待から大幅高となりました。今週の日本株は、その流れを引き継ぎ29日に大幅上昇で始まりましたが、その後は米国や中国での経済指標の下振れを受けて上値の重い動きとなりました。

急騰の反動をこなしつつ、中長期上昇トレンド形成へ

日経平均株価は、5月19日に2021年9月高値(終値ベース:30,670円)を超え約33年ぶり高値をつけ、5月29日の取引時間中には一時31,560円まで上昇しました(図1)。

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(注1)直近値は2023年6月1日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

その後は押しを入れましたが、5月中旬の大幅上昇は、3万円台にのせた2021年2月から2年を超える期間に及ぶ日柄調整をこなしてからの大幅上昇であり、急騰の反動をこなしつつ中長期的な上昇トレンドを形成する可能性が高いと捉えられます(図2)。

この先、5月29日の取引時間中高値(31,560円)を超えれば、先行きは1990年6月高値(終値ベース:33,192円)や2011年以降の上昇トレンド上限(34,000円前後)の水準を目指す動きとなると考えられます。 

(注1)月足は終値ベース。直近値は2023年6月1日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成

一方、上昇一巡後に調整となり、5日移動平均線(6月1日:31,102円)を大きく割り込む場合は、心理的フシの3万円台や、4月27日の調整時に下支えとなった上向きの25日移動平均線(同:29,937円)の水準が下支えとなると考えられます(図1参照)。

TOPIXは30年来の長期上値抵抗線を上放れ

最後にTOPIXについても見てみましょう。TOPIXは今年5月の大幅上昇を受けて、約30年続く超長期上値抵抗線を上放れしたと捉えられます。5月16日に2021年9月高値を超え、その後18日には1989年高値以降の下落幅に対する2/3戻し(2155.04pt)を超えており、先行きは同全値戻し(2884.80pt)へ向けた動きとなることが期待されます(図3)。

※2023年6月1日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

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