
2023年5月(5月1日~6月2日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人が買い越した。売り越した投資部門は、信託銀行、個人投資家、投資信託などだった。
海外投資家は現物と先物の合計で3兆4,710億円を買い越した。2カ月連続で3兆円超を買い越したほか、金額は17年10月(3兆5,785億円)以来の大きさであった。現物の買い越し額が2兆3,907億円と、4月(2兆1,511億円)を上回った。22年度通期決算で日本企業の業績の堅調さが示されたことが、日本株買いを促した要因の一つとなったとみている。
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事業法人は現物と先物の合計で3,872億円を買い越した。24カ月連続の買い越しであるが、金額は22年5月(5,332億円)から縮小した。売り注文額が増加しており、政策保有株式の売却が増加したことが背景と見られる。
信託銀行は現物と先物の合計で1兆4,276億円の売り越しと、2カ月連続で売り越した。売り越し額はデータ取得可能な02年以降で最大であった。株高を受けて年金基金がリバランス(資産配分の調整)売りを行ったと考えられる。特に第5週の売り越し額が7,835億円と大きかった。
個人投資家は現物と先物の合計で1兆1,964億円の売り越しと、2カ月連続で売り越した。株高を受けて、利益確定をする動きがあったと見られる。個人投資家の資金が含まれている投資信託も4,544億円を売り越した。
(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)
※野村週報 2023年6月19日号「株式需給」より
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