Q:日本の自動車メーカーはEV市場で挽回することが可能か?

米研究機関「国際クリーン交通委員会」の報告書によると、世界の自動車大手20社の電気自動車(EV)への移行評価で、日本の5つの自動車メーカーが「出遅れ」と評価されています。

日本の自動車産業はハイブリッド車や水素燃料技術において強い一方、急速なEVへの移行に対しては否定的な姿勢を取っていると見受けられます。日本の自動車メーカーはEV市場で挽回することが可能なのでしょうか。

A:現状の販売台数は本格普及期の競争力に直結しない

現在の主要な自動車メーカーの間では、現行世代のリチウムイオン電池を使用するEVの技術力やコストに大きな差異は見られません。

現状でのEVの販売数が多いということが、EVの普及が本格化する2020年代後半の競争力に直結するわけではないと考えています。例えば、5年前にEVの販売数が多かった日産自動車(7201)が現在有利な立場にいるとは言えません。

EVへの長期的な移行に成功するためには、現在のガソリン車(ハイブリッド車を含む)からしっかりと利益を得ることが重要です。これにより、今後拡大するEV事業の赤字を吸収する余力がある企業が2020年代後半にEVの販売を伸ばすことができると見ています。

また、全固体電池など次世代電池への投資も重要と考えています。次世代電池の技術力とコスト競争力がEV市場での勝者を決定するキーになるとみています。

日本の主要な3つの自動車メーカーは、2025年以降にEVの導入を本格化する予定で、次世代電池の開発も積極的に行っています。このため、EVへの移行に不利な状況にあるとは見ていません。

(FINTOS!編集部)

(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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