VIX(ボラティリティ・インデックス)とは、投資家が予想する将来の株式相場の変動率を表したものである。将来の相場に対する投資家の不安を反映していると考えられるため、「恐怖指数」の異名を持つ。

我が国では、日本経済新聞社が日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI)と呼ばれる指数を算出・公表している。この指数は、投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを数値化したもので、この数値が高いほど、投資家が今後、相場が大きく変動することを予想していることを意味する。

日経平均VIは、市場で成立している日経平均株価のオプション価格から、日経平均株価の今後1カ月のボラティリティを求めたものだ。オプションの理論価格には、原資産(ここでは日経平均株価)のボラティリティが反映されている。

例えば、日経平均VIが30の場合、日経平均株価の今後1カ月のボラティリティは年率30%(1カ月あたり8.7%)と予想されていることを表している。これは1カ月後の日経平均株価が±8.7%のレンジに収まる確率が7割程度であることを意味する。

日経平均VI は、平時には20~30前後の値で推移している。一つの目安だが、30を超えている場合、日経平均株価の先行きの不透明感が広がっていると言えよう。

また、日経平均株価と日経平均VIは概ね逆相関の傾向がある。過去のデータを見ると、日経平均VIは2008年のリーマンショック時に92の最高値が付き、新型コロナの感染拡大が起きた20年3月は60を記録した。日本株が好調な現在は、20前後の値で推移している。

日経平均VI は、市場の強気・弱気を示す指標の一つである。日本株投資を行ううえで、重要な情報の一つと言えよう。

(野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング 尾谷 拓海)

※野村週報 2023年7月10日号「資産運用」より

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