ROE8%達成/未達による較差が拡大

2023年の株主総会にて、TOPIX500指数の3月期決算企業367社(以下、「主要企業」)の会社提案は全て可決されましたが、株主提案は全て否決されました。今回の議決結果を基に、企業をROE(自己資本利益率)8%達成の有無で、「達成企業」及び「未達企業」に分けて分析しました。

通常、取締役の選任に対する賛成比率は、達成企業と未達企業とで差が見られます。2023年の株主総会では、これら企業群間の平均賛成比率において3.2%ポイントの差が出たことが注目されます。この差は、2020年から2022年までの期間と比較すると約1%ポイント拡大しています。

さらに、役員報酬額の改訂案に関しても変化が見られ、未達企業に比べて達成企業の平均賛成比率が2.1%ポイント高くなりました。これらは、連続して低ROEを記録する企業に対する投資家の目が厳しくなっている可能性を示しています。

また、退職慰労金支給案や買収防衛策に対する賛成比率は例年通り低い水準で、2023年も平均賛成比率はそれぞれ70~80%台、60%台となりました。

最後に、株主提案が行われたのは30社で、これは前年の19社から増加しています。しかしながら、株主提案が可決された事例はありませんでした。それでも比較的多くの賛成比率を獲得した提案は、脱炭素化の取り組み、役員報酬の詳細開示、顧問・相談役の役職の廃止、自社株の取得等などの株主還元に関連する提案でした。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 主要企業の株主総会決議状況(2023年7月5日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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