2023年12月末の日経平均予想を34,000円に引き上げ

野村證券は7月6日付で、2023年12月末の日経平均予想を従来の30,000円から34,000円に引き上げました。これは7月3日に公表された日銀短観の結果を基に、企業業績が円安と利益率改善により上振れ傾向となっていると判断したためです。さらに、TOPIXのEPS(1株あたり利益)予想も同様に上方修正しました。また、日本企業が欧州企業並みの利益率を達成できると仮定した場合、長期的な日経平均は45,000円に到達する可能性があると見ています。

しかし、短期的にはグローバルな株安リスクがあるため注意が必要です。特に米国での賃金インフレの進行により、金利が上昇することでグロース株が調整を余儀なくされる可能性があります。国内では、7月28日に予定されている日銀の金融政策決定会合に向けて、一時的にイールドカーブコントロール(YCC)の修正に対する期待が高まる可能性があります。

7月末に控える第1四半期決算については、日銀短観の結果が全体的に良好であったことから、実績が予想を下回るリスクは低下していると見ています。また、日本株に新たに参入した海外投資家が四半期業績に特にこだわらない傾向があることも注目されます。日銀短観のデータからは、特に鉄鋼や自動車関連業種(ガラスを含む)が上方修正の可能性が高いとみています。銘柄選定の際には、原材料価格が一巡しても産出価格を維持または上昇させ、利益率の拡大につながっているかどうかが重要なポイントとなります。

野村證券は、推奨するセクターとしてシステム・アプリケーション、食品、インバウンド関連を挙げています。一方、為替に敏感な医療機器セクターは中立的な立場に変更しました。不動産については、割安感が強く、国内インフレの期待が高まる場合の中長期的なポテンシャルも大きいと評価しています。ただし、中国の不動産市場に関する不透明感が高いため、参入は一旦保留との立場です。輸出関連株に対しては、引き続き慎重なスタンスを維持します。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年7月7日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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