
2023年6月(6月5~30日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、海外投資家や事業法人が買い越した。売り越した投資部門は、個人投資家、投資信託、信託銀行であった。
海外投資家は現物と先物の合計で3カ月連続の買い越しだが、金額は8,769億円と4月の3兆360億円、5月の3兆4,710億円から縮小した。金額の内訳をみると、現物を1兆5,705億円買い越したが、6月第3週には13週ぶりの売り越しに転じた。7月上旬に控えるETF(上場投資信託)の分配金捻出売りへの警戒が影響したと見られる。先物は6,936億円の売り越しと、3カ月ぶりに売り越しに転じた。中国景気の持ち直しが見られない中で、一旦利食い売りが優勢になっている可能性がある。
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事業法人は2,319億円を買い越した。うち、現物の平均週次買い越し額は513億円と、前年同月の1,259億円から縮小した。これは、政策保有株式の売却が増加したことが背景であろう。
個人投資家は6,810億円を売り越し、3カ月連続で売り越した。株価上昇を受けて、利益確定売りが行われたと見られる。一方、株高を受けて日本株への関心が高まったことから、売買が活発に行われた。23年6月の委託売買代金シェアは27.3%と前年同月比5.7%ポイント上昇した。
信託銀行は2,621億円を売り越し、3カ月連続で売り越した。引き続き、株高を受けて年金基金がリバランス(資産配分の調整)目的の売りを行っていると見られる。
(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)
※野村週報 2023年7月17日号「株式需給」より
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