※2023年8月3日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

まずは31,500円前後で下げ止まるか注目

今週の日経平均株価は、8月1日高値(33,488円)形成後に急落となりました。米国債の格下げや増発によって米国長期金利が上昇したことや、日銀の金融政策修正(7月28日発表)後、徐々に国内長期金利が上昇したことなどが、株式市場で嫌気されました。

チャート面として、まずは日経平均株価の日足チャート(図1)を振り返ってみましょう。7月31日にこれまで上値を抑えられてきた25日移動平均線(8月3日:32,745円)を上放れ、8月1日には33,400円台へ一段高となりました。しかし、その後は一転大幅反落に見舞われ、再び25日線割れとなっています。

※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。

(注1)直近値は2023年8月3日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

この先の下値メドとして、7月12日安値(31,791円)や、75日移動平均線(同:31,489円)、6月8日安値(31,420円)の水準が挙げられます。仮に同水準を下回る動きとなれば、今年1月以降の上昇幅に対する1/3押し(31,068円)の水準がさらなる下値メドとして挙げられます。一方で、調整一巡後に反発となった場合は、まずは25日線(同:32,745円)を回復できるかが注目点です。

前回の中段保ち合いでの最大下落率は7%

次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう。6月に33,700円台にのせた後は上昇にブレーキがかかり、その後25日線を割り込んだことで「中段保ち合い」に移行したと考えられます(図2)。前回の長期上昇局面(2020年3月安値~)における「中段保ち合い」(2020年6月~10月末)内の最大下落率は7%となりました。7月高値(終値ベース:33,753円)から同様の調整となった場合は、31,390円と試算されます。これら水準までの下落であれば、「中段保ち合い」局面内の調整として違和感のない調整と捉えることができます。

 (注1)直近値は2023年8月3日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
 (出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

米国10年債利回りは再び4%台に

米国10年債利回りは、今年7月に昨年10月ピーク(4.335%)形成後の下降トレンドラインを上放れとなり、その後4%台にのせました。8月に入り、大手格付け会社による米国債の格下げや、米財務省の国債増発決定を受けて、利回りに上昇圧力がかかっています。この先のメドとして、昨年10月ピーク水準(4.335%)が挙げられます(図3)。

(注1)直近値は2023年8月1日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

一方で、2020年3月ボトムから昨年10月ピークまでの利回り上昇は、2006年以降の主要な利回り上昇局面と比較し、期間及び上昇幅の両面で最大となっています。また今春に昨年3月・8月ボトムを結ぶ上昇トレンドラインを割り込んだ点を考慮すれば、さらなる利回り上昇は限定的だと考えられます。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点