コスモス薬品(3349) 小売業

低価格販売に強みを持つドラッグストア
九州発祥のドラッグストアで、大型店による小商圏ドミナント出店戦略に特色がある。日替わり特売やポイントカードを実施せず、毎日安い(EDLP、Everyday LowPrice)戦略を徹底。店舗作業の共通化や簡素化といった取り組みがEDLP を軸とする当社の強みであると野村では考えている。
2023年5月期の一般食品の売上高構成比は58%となっており、ドラッグストアの中では食品比率が際立って高い。また、加工食品等の分野では大手食品スーパーと同等もしくは上回る販売規模を持っている。規模が大きいだけでなく、出店による成長性もある当社は、商品調達面で高い競争力(交渉力)を持っていると言えよう。
低価格販売の強みが顕在化
直近の月次販売では増収の勢いが加速している。客数の改善が販売の改善につながっており、インフレの環境下で当社の低価格販売での強みが顕在化してきていると言えるだろう。24年5月期の営業利益を前期比7%増益と予想する。価格訴求を強めた状態が続くと予想されるため、売上総利益率についてはやや低下すると予想するほか、人件費等の販管費増も見込まれるものの、順調な販売が業績を支えよう。
出店については、関東など店舗数が少ない地域での出店が多い状況が続くと予想されるものの、その他地域でも着実に出店が進もう。出店による中期業績の拡大確度の高さにも注目できるだろう。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 山岡 久紘)
SUMCO(3436) 金属製品

半導体シリコンウエハの大手
半導体用の300、200、150mm ウエハなどを手掛ける大手ウエハメーカー。主要顧客はDRAM、NAND、ロジックなどを生産する大手半導体メーカーである。
当社の相対株価(対TOPIX)とDRAM市況やロジック半導体の売上は連動性が強い。半導体メーカーの減産進展等で、半導体需要の改善確度が高まってきた。
200mm ウエハ需要(22.12期売上構成は30%程度)は自動車向けが堅調であるが、民生用エレクトロニクス向けが厳しく、23.12期の同ウエハ販売は前期比で減少しよう。一方、24.12期は民生用需要の下げ止まりや車載用需要の増加が持続することもあり、販売は同増加に転じるだろう。
長期契約の販売価格は堅持されよう
300mm ウエハ需要(22.12期売上構成は65%程度)は、顧客の在庫調整もあり23年10~12月期まで前四半期比で減少しよう。300mm ウエハの主力である日本拠点では、顧客と長期契約を結んでいる。19.12期の需要悪化局面においても長期契約の販売価格は維持されたため、今回も長期契約価格は維持されよう。
足元での中国NSIG(National SiliconIndustry Group)の競争力向上は、中期的に当社の業績に悪影響を与える可能性がある。一方、米中の地政学リスクの高まりで、当社の主力販売先が中国材料メーカーからの購入を手控える動きもあり、リスクは小さくなっただろう。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 岡嵜 茂樹)
JMDC(4483) 情報・通信

医療ビッグデータ利活用の先駆け
増大する医療費や医療の地域格差等の課題解決に取り組み、医療ビッグデータ等を活用したヘルスケアICT(情報通信技術)サービスを展開する。2002年の創業時から健保組合由来のレセプトや検診等のデータを匿名加工し製薬会社や生損保に販売、医療ビッグデータ提供の先駆け企業である。
国内最大の放射線診断専門医の基盤を有する遠隔医療事業と調剤薬局支援事業を加えた3事業体制で、データとICT の活用で国民医療費の健全化と持続可能なヘルスケアシステムの実現を目指している。政府が推進する医療分野でのICT 利活用の流れを追い風とし、更なる医療ヘルスケア関連データの拡充と業容拡大が期待できる。
健康経営アライアンスが始動
製薬や保険会社向けにはデータ販売だけでなく研究開発や商品設計ニーズに応じたデータセット提案やコンサルティングなど、高付加価値サービスが多様化している。既契約製薬企業ではデータ提供先が薬事からマーケティング、研究開発部門等へ拡張、海外の創薬系企業へのデータやソリューション提供も拡大している。
生活者・保険者向けでは、健康増進・重症化予防プログラムの提供で健康経営を支援する。代表幹事の1社として6月に始動した「健康経営アライアンス(KKA)」では、会員企業の従業員向けヘルスビッグデータ解析の需要獲得など、新たな成長源となることに注目している。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 繁村 京一郎)
※野村週報 2023年8月7日号「銘柄研究」より
※掲載している画像はイメージです。