※2023年8月17日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

この先の下値メドは31,000円前後

今週の日経平均株価は大幅安となりました。米国の金融引き締め長期化への懸念や、7月の中国主要統計発表を受けて中国景気に対する懸念が改めて意識され、相場の重石となりました。

チャート面として、まずは日経平均の日足チャートを振り返ってみましょう(図1)。8月1日高値(33,488円)から調整となり、その後の一時的な反発局面は25日移動平均線(8月17日:32,454円)の水準に抑えられました。そして、8月16日の大幅安で75日線(同:31,917円)や、7月以降に下値サポートとなっていた7月12日安値(31,791円)を割り込みました。この先の下値メドとして、今年1月~6月上昇幅の1/3押し(31,068円)や、2021年9月高値(ザラバベース:30,795円)の水準が挙げられます。

※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。

(注1)直近値は2023年8月17日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一方で、これまでの急落を受けて、RSI(同:34.31%)は、短期的な売られすぎを示唆する30%以下の水準に接近しており、この先底入れに向けた動きとなるか注目されます。

前回を参考とすれば、下落の動きに歯止め期待

次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう。6月以降は長期上昇局面内の一旦の調整局面である「中段保ち合い」に移行していると考えられます(図2)。前回の長期上昇局面(2020年3月安値~)における「中段保ち合い」(2020年6月~10月末)内の最大下落率は7%でした。7月高値(終値ベース:33,753円)から同様の調整となった場合は、31,390円と試算されます。前回の局面を参考とすれば、この先下落の動きに歯止めがかかることが期待されます。

(注1)直近値は2023年8月17日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

ドル円相場:今年6月高値(145.07円)を超え、昨年11月以来高値に

ドルは対円で8月14日に6月30日高値(145.07円)を超え、2022年11月以来の円安・ドル高水準をつけました。この先の上値メドとして、昨年10月高値(150.48円)のある150円台の水準が挙げられます(図3)。7月14日安値(137.27円)形成後は勢いある上昇となっていますが、145円超えの水準は、昨年に政府・日銀が為替介入をおこなった水準であり、これら水準では市場の警戒感が高まりやすいと考えられます。

(注1)数値は日銀公表値で東京市場。直近値は2023年8月16日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行、各種資料より野村證券投資情報部作成

次に1971年からの長期月足チャート(図4)を確認すると、1975年以降の主要な高値は8年前後の周期で天井形成する動きがみられます。昨年10月高値(150.48円)は、前回のサイクル高値(2015年6月:125.66円)から約7年半経過後につけた高値であり、やや短いものの8年サイクル高値を形成した可能性が高いと考えられます。その考えに基づけば、この先の上値は限定的だと考えられます。

(注1)直近値は2023年8月16日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)日柄は両端含み。(注3)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成

一方で、仮に昨年10月高値(150.48円)を超えた場合は、この先につける高値を8年サイクル高値として捉えなおし、これまでの見方を変える必要があります。その場合、上昇一巡後に天井形成となれば、これまで以上の規模の円高・ドル安方向への揺り戻しに留意が必要になると考えられます。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点