GLP投資法人(3281) 不動産投資信託

1兆円を超えるスポンサー・パイプライン
スポンサーはグローバルに物流不動産及びその関連テクノロジーを提供するGLPグループ。2023.8期に増資を実施し「GLPALFALINK相模原4(準共有持分30%)」を含む4物件(取得価格合計582億円)を取得。これによりポートフォリオ全体の取得価格合計は9,000億円弱となった。当社の場合、外部成長がDPS成長のメインドライバーであるが、23年6月に「GLP八尾I」等の優先交渉権を取得するなど、外部成長のための1兆円を超える豊富なスポンサー・パイプラインを有している。一方、23.2期には「GLP 深谷」を売却し売却益19億円を計上。今後も物件競争力等の観点から、市況を見ながら売却も検討する方針。
CPI 連動条項によって賃料収入の増加も
23年6月末時点のポートフォリオ全体の稼働率は99.5%となり高位安定を維持。他方、堅調なテナント需要とスポンサーの強固なリーシング力を背景に、当社では、23.8期の賃料増額率は+8~9%を見込む。力強い賃料増額実績に加え、約9%の賃料ギャップ(市場賃料と契約賃料との差)などを背景として更なる賃料収入の増加を狙う方針。足元、日本でもインフレの兆候が垣間見られる環境下、インフレへの対応として、CPI(消費者物価指数)連動条項によって賃料収入の更なる増加も見込んでいる。一般的に、物流不動産の賃料収入は安定している一方、当社は物価動向を反映した契約体系も備えている。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 大村 恒平)
DMG森精機(6141) 機械

高付加価値戦略で設備投資需要を取込む
2016年にドイツ会社と統合した世界最大の工作機械メーカー。世界シェアは約10%程度で、5軸加工機などの工程集約機に強みを持つ。地域別の受注構成比(23.12期1~6月)は欧州が54%、米州が20%、日本が11%、中国が10%である。
当社は高付加価値戦略を展開。EV(電気自動車)化を含む脱炭素、省人化のための自動化、サプライチェーンの再構築など世界で拡大する需要に対応する機械、ソリューションを提供する。戦略の一環で人材投資にも積極的である。人件費の増加は減益要因となるが、22年度は粗利改善効果(値引率の抑制)などの増益要因が上回った。23年度以降も同様の展開が続くとみる。
受注は減少も、受注残が収益を支えよう
23年4~6月期は売上が1,263億円、営業利益が129億円だった。受注は前年同期比10%減となったが、受注残が収益を支えた。また、会社は通期計画を売上5,250億円、営業利益525億円に増額修正した。
足元では設備投資需要がグローバルで減少しており、当社受注も23年度は減少傾向が続くと予想される。一方、今後も豊富な受注残(6月末で2,820億円)により収益は支えられよう。また直販体制を活かした部品・サービス収入も貢献すると見る。これらが受注減少局面でも業績を支え、受注回復時には脱炭素、自動化、サプライチェーン再構築などの需要を取込み、さらに業績を拡大すると予想する。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 小笠原 れい)
SCREEN ホールディングス(7735) 電気機器

半導体製造向けの洗浄装置で世界トップ
半導体製造装置(SPE)を中心に事業を展開。液体の取り扱いに長けており、洗浄装置の世界シェアが枚葉式で3~4割程度、バッチ式で5割程度とトップを誇ると推定される。メモリメーカー向けよりもTSMCなどのファウンドリ向けの売上比率が高いことが特徴である。SPE以外にデジタルプリンタ(GA)、ディスプレイ製造装置(FT)、プリント基板向け露光装置(PE)の事業も行っており、FTでのコータ・デベロッパ、GA でのサーマルCTP(ダイレクト刷版)装置などでも世界トップシェアの製品を有する。ただ、利益の変動性の高さやSPEと比較した成長率の低さが株式市場では課題と認識されていると見る。
個社要因で今期増益を計画
2024.3期のSPE市場は大きな調整局面にあり、SPE 企業の大半は減益を計画している。しかし当社は前期比営業増益を計画。当社は経営の混乱もあり製造キャパシティ拡張の判断が遅れ、21年から急拡大したSPE需要に対応できず、シェアを失っていた。23年1月、24年1月で新工場が稼働し、中国を中心に前期までに対応できなかった需要を持ち越しているため、野村でも24.3期に増収が可能と見る。ただし、野村では需要と供給の両面で会社計画の水準の達成は難易度が高いと考えている。その上、25.3期のSPE 市場回復局面では持ち越し案件の減少もあり、同業他社より増益率が低くなるリスクがあろう。




(野村證券エクイティ・リサーチ部 吉岡 篤)
※野村週報 2023年8月21日号「銘柄研究」より
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