Q:中国恒大の破産、市場への影響は?

経営再建中の不動産大手、中国恒大集団が米ニューヨークで連邦破産法15条の適用を申請しました。金融市場への影響をどのように考えればよいでしょうか?

A:グローバル金融市場等への影響は限定的

2023年8月17日に恒大集団が米連邦破産法15条を申請しましたが、同社は2021年12月に米ドル建て社債のデフォルトが確定しており、既に破綻済みです。今回の連邦破産法15条の申請は破綻後の債務再編手続きの過程において同社の米国内資産を債権者から保全するために申請されるものであり、15条の申請を以って破産手続きが開始される(破綻したことを意味する)という訳ではありません。

同社の社債価格は2021年12月のデフォルト以降、既に破綻企業の価格まで低下しており、同社社債の保有者の多くは既に減損、処分を行っているとみられます。従いまして同社の社債から今後新たに追加で損失が発生する可能性は低いと考えられます。以上から今回の件がグローバル金融市場等に及ぼす影響は限定的と考えます。

むしろ、同じ中国の不動産開発大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の破綻リスクが高まっていることの方が問題だと考えます。同社は今年8月に米ドル建て社債の利払いが行えず、2021年の恒大集団と同様にデフォルトする可能性が高まっています。
 
昨年来の中国の住宅市況の悪化が同社の収益悪化に繋がっていることが背景にあると考えられます。碧桂園が破綻した場合のクレジット市場、金融市場への影響ですが、2年前の恒大集団破綻時の市場への影響は一時的、限定的なものに留まりました、碧桂園は米ドル建て社債の発行残高などをみても恒大集団よりも規模は小さいことから、仮に同社が破綻したしても、恒大集団が破綻した時の影響よりも更に限定的なものに留まると予想されます。

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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