※2023年8月31日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

25日、75日線を明確に上放れとなるか注目

今週の日経平均株価は、ジャクソンホール会議を終え米金利が低下する中、米国株と同様に堅調に推移しました。

チャート面として、まずは日経平均株価の日足チャートを振り返ってみましょう(図1)。日経平均は8月18日に安値(31,275円)を形成した後、反発しました。その後、これまで上値抵抗線として機能していた25日移動平均線(8月31日:32,260円)に一旦は上値を抑えられましたが、30日には終値ベースで8月1日以来となる25日線回復となりました。25日線近くには75日線(同:32,287円)もあり、これらの水準を明確に上放れることができれば、8月1日高値(33,488円)や6月19日高値(33,772円)のある33,500~33,700円前後の水準を目指す動きとなると考えられます。

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(注1)直近値は2023年8月31日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一方で、戻りが鈍く再度下落となった場合は、8月18日安値(31,275円)や、今年1月~6月上昇幅の1/3押し(31,068円)の水準が下値メドとして挙げられます。

徐々に底堅い動きに移行となるか注目

次に中長期的な相場の流れについて確認してみましょう。8月は一時31,200円台まで値を下げる局面もありましたが、中長期トレンドの観点では、それら下落局面も含めて中長期上昇局面内の一時的な調整である「中段保ち合い」をこなしていると捉えられます(図2)。

(注1)直近値は2023年8月31日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

前回の中長期上昇局面(2020年3月安値~)における「中段保ち合い」(2020年6月~10月末)をみると、2020年6月に中段保ち合い入りとなり、夏場にかけては不安定な動きがみられましたが、徐々に底堅い動きとなり同年11月には完全に上放れとなりました。今回は8月に一時大幅安となる局面があったものの、前回と同様にこの先徐々に底堅い動きに移行してくるか注目されます。

9月の相場をどう捉えるか

日経平均株価を終値ベースでみると、7月3日高値(33,753円)から8月18日安値(31,450円)まで、およそ1ヶ月半で2,300円強下落しました。その後は値を戻す動きとなっているものの、米国の金融政策の動向や中国経済の先行きを巡っては、今後も神経質な相場展開が続きそうです。

 一方で、日経平均株価の「月間アノマリー(経験則)」に注目すると、この時期の株価下落は特に珍しいことではありません。例年5月~10月にかけての株価パフォーマンスは平均値と比べ悪く、特に9月は1年の中で最もパフォーマンスが悪くなっています(図3)。

(注)当該期間の月間騰落率の平均値を算出。1949年は6月から、2023年は7月まで。
(出所) 日本経済新聞社、ブルームバーグデータより野村證券投資情報部作成

では、9月をどう乗り越えれば良いのでしょうか。確かに9月はパフォーマンスが悪い傾向があるものの、その後は改善し、11月末から年始にかけて相対的に良いパフォーマンスとなっており、特に年始の1月は1年の中で最もパフォーマンスが良い月となっています。「経験則的には過去パフォーマンスが最も悪い9月に買って、年末年始か翌年5月までに売る」と良好なパフォーマンスが得られるケースが多かったと言えます。夏場から秋口にかけての株価下落は日本株にとってエントリーのタイミングとして有望と言えるかもしれません。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

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