
4月米雇用統計の失望、消費者物価統計の上振れというサプライズを受け、先週の金融市場はやや波乱の展開となった。供給制約やスタグフレーションへの懸念が台頭し、株価の調整が進展している。ただし、為替市場の反応は相対的に小さく、リスクオフの中でも円高の動きは限られた。108円台では市場の円売りポジションが限定的となっていることを示唆していよう。短期的には米国を中心とした株価の動向に注意が必要だが、円高加速のリスクは限定的と見る。
今週も17日(月)クラリダ副議長講演、19日(水)FOMC議事要旨など、FRBからのコミュニケーションが注目されるが、雇用統計、消費者物価共に単月の結果でスタンスを大きく変更する可能性は低い。ドル円相場も6月初旬の雇用統計など米経済指標まではやや動意の薄い展開が予想される。108-110円が基本レンジとなりそうだが、21日(金)米マークイット総合PMIを中心に世界経済の堅調が確認されれば、中長期的なドル円及びクロス円相場の上昇トレンドは維持されよう。
※2021年5月17日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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