足元のレーティングはやや強気過ぎるとの見方も可能

先週の日経平均株価は上下に激しい値動きを見せました。特に注目すべきは(経済情勢に基づいて売買する)マクロ系ヘッジファンドの動向です。マクロ系ヘッジファンドは日本株のロングポジション(買い持ち高)を再拡大し、過去2週間で約7,000億円の買い越しを行いました。これは同期間の海外投資家全体の先物買い越し額である約1.1兆円の大部分を占めています。

通常、マクロ系ヘッジファンドは9月から11月にかけて中国景気を重視する傾向が強まりますが、現在の中国の景気指標はそれほど強くありません。あくまで仮説に過ぎませんが、5月の日本株の上昇局面で十分に利益を得られなかったことや、年初からの低調なリターンに対する焦りが、積極的なリスクテイクの背景にあると考えられます。

相場の流れに追随するCTA(商品投資顧問)もロングポジションを再拡大しており、先週は3,000億円の買い越しを行いました。買い越しの勢い自体は力強いわけではありませんが、持続性は高いと見られ、株価が31,600円を下回らない限りは維持されると見られます。

日本株の物色動向では、不動産不況やハイテク分野での米中対立を背景に、中国関連銘柄のアンダーパフォームが目立ちます。しかし、現在の中国関連銘柄の株価は、景気指標に比べると割安と言える状態です。今後の調整余地については、基本的には景気指標などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)次第とみられます。

ただし、アナリストのレーティング引き下げに伴う株安リスクにも注意が必要です。中国景気に対する悲観的な見解が増えているものの、実際には中国関連銘柄のレーティングは大きく調整していません。コロナ禍前の中国景気指標との関係を考えると、現在のレーティングは少し楽観的すぎるかもしれません。

最後に、海外景気に目を向けると、欧州や中国と比較して米国が強い状況にあります。もし米国景気がこのまま順調に回復を続けるならば、米国関連銘柄への投資が有望と言えるでしょう。

(FINTOS!編集部)

(注)画像はイメージ。

要約編集元アナリストレポート「野村クオンツ・インサイト – マクロヘッジファンドは日本株ロング再拡大(2023年9月11日配信)」(プレミアムプラン限定)

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