
「物価高対策」「賃上げ」「投資拡大」が柱に
内閣改造・自民党役員人事を終えて、岸田内閣は経済対策の策定に取り組むことになります。経済対策の全容はまだ明らかではありませんが、「物価高対策」「賃上げ」「投資拡大」の3点が対策の柱になるでしょう。なお、経済対策の策定時期については、10月中に策定との報道がみられます。
① 物価高対策:省エネ関連の施策に注目
「物価高対策」については、2023年9月末に終了する予定だった既往の物価高対策が既に年末まで延長されています。そのため、2024年1月以降への再延長や、低所得世帯への現金給付などが施策の候補として挙げられます。また、省エネに関連した補助金政策が導入される可能性もあります。
2024年度のGX(グリーン・トランスフォーメーション)関連予算の概算要求では、くらし関連部門の投資促進策として、断熱性能に優れた窓への改修支援や、高効率給湯器(ヒートポンプなど)の購入支援といった項目が並んでいます。これらは「投資拡大」とも重なる施策であり、こうした脱炭素関連施策の予算措置額が大型化する可能性もあります
② 賃上げ:税制の拡充・延長を検討か
「賃上げ」の目玉施策は、恐らく賃上げ促進税制の拡充や大幅な期限延長となるでしょう。現行の賃上げ促進税制は、2023年度末までに始まる事業年度が対象となっており、終了時期が近づいています。
一部報道によると、税控除の繰り越しを認めて赤字法人にも利用可能な制度にするほか、子育て支援や女性活躍に積極的な企業への税控除率の増額、2030年までの制度延長などが検討されているようです。そのほか、構造的な賃上げを推進するため、リスキリング(学び直し)関連の施策が盛り込まれる可能性もあります。
③ 投資拡大:日本版IRAの具体化に期待
「投資拡大」の目玉は日本版IRA(インフレ抑制法案)の具体化とみます。IRAは米国で2022年8月に成立した法律で、太陽光パネルなどの製造設備や省エネ機器の購入支援、電気自動車の購入に関する税額控除などを盛り込んだものです。米国内での製品組み立てや、特定国からの重要鉱物調達を条件としている点が特徴的でした。
日本版IRAについて、具体的な内容は不明ですが、グリーン政策や経済安全保障との関わりが深いものになると考えられます。2024年度一般会計の概算要求でも、これらの分野と関わりの深い項目で大型の予算要求が見られました。例えば、GX関連予算の概算要求において、革新的脱炭素製品等の国内サプライチェーン構築支援として総額約1.2兆円の予算要求が行われています。
(FINTOS!編集部)
(注)画像はイメージ。
要約編集元アナリストレポート「日本:内閣改造・自民党役員人事 – 近付く解散総選挙を前にした内閣改造・自民党役員人事(2023年9月13日配信)」(プレミアムプラン限定)