2023年8月(7月31日~9月1日、以下同)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、事業法人や海外投資家などが買い越し、個人投資家や信託銀行などが売り越した。

海外投資家は2,965億円を買い越した。中国信用不安の高まりを受けて、8月第3週と第4週には各々8,356億円、1,075億円を売り越した。一方、第5週には9,748億円の買い越しに転じた。8月31日発表の中国製造業PMI(購買担当者景気指数)が市場予想を上回ったことや、同日に中国政府が住宅ローン関連規制の緩和を発表したこと等を受け、中国景気に対する不安が緩和したと見られる。

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事業法人は8,694億円を買い越した。買い越し額の大きさは15年12 月(8,822億円)以来であった。企業が積極的に自社株買いを行っていると見られる。

信託銀行は4,599億円を売り越した。7月までの株価上昇を受けて年金基金がリバランス(資産配分調整)目的の売りを行ったと見られる。一方、リバランスが進捗したこともあり、8月第4週と第5週には小幅ながら買い越しに転じた。

個人投資家は7,468億円を売り越した。TOPIX(東証株価指数)が前週比3.7%上昇した第5週の売り越し額が1兆1,687億円と大きかった。株価上昇を受けて利益確定売りを行ったと見られる。一方、23年8月の委託売買代金シェアは25.7%と引き続き高水準であった。取引を活発に行っており、引き続き日本株への関心が高い状態が続いていると見られる。

(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年9月18日号「株式需給」より

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