2023年度4~6月期(Q1)決算が出揃ってから約1カ月が経過した。決算の注目点の1つに会社予想売上高(以下、ガイダンス)の修正動向があるが、Q1決算では据え置かれる銘柄が多く、今年も約8割が据え置かれた。本稿では、ガイダンス据え置き銘柄の中でも、Q1決算のガイダンスに対する「進捗率」によって決算発表後の株価動向が異なる点について紹介する。

図表の黒線に、「Q1高進捗かつガイダンス据え置き」銘柄のパフォーマンスを示した。ここでは、ガイダンスに対するQ1実績売上高の割合が過去の水準を一定以上上回った場合を高進捗としている(詳細は注)。高進捗銘柄はQ1決算発表後しばらく高パフォーマンスを示す傾向が確認できる。これは、ガイダンスの修正が行われやすい7~9月期(Q2)決算での上方修正を期待したものかもしれない。実際、Q1で高進捗かつガイダンス据え置き銘柄は、Q2の決算発表期にガイダンスが上方修正されやすい傾向がある。

また、Q1高進捗かつガイダンス据え置き銘柄は、Q1売上高がコンセンサス予想を上回った「ポジティブサプライズかつガイダンス据え置き」銘柄(図表、グレーの線)と比較しても高パフォーマンスを持続している。注目度が高く株価への織り込みが速い決算サプライズと比較して、進捗率は織り込みに時間がかかるようだ。

以上を踏まえると、Q1決算発表後の銘柄選択では進捗率を確認することがより重要であると言えよう。たとえガイダンスが据え置かれたとしても、進捗率が高ければQ2での上方修正期待から株価が押し上げられやすいということは知っておくとよいだろう。

(野村證券市場戦略リサーチ部 西岡 伸)

※野村週報 2023年9月25日号「資産運用」より

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