個人保有比率が高い銘柄の中でも、高配当利回り銘柄が買われる可能性

新NISA(少額投資非課税制度)の開始当初(2024年1月~)の日本株への影響を整理します。個人投資家の売買動向を確認すると、1月には日本株の現物株を買い越し、2月と3月も売り越しが小さくなる傾向があります。これは、前年末までの損益通算による節税を目的とした売りの影響により、売り余力が小さくなっているためだと考えられます。さらに2014年以降は、NISAの投資枠が年初に付与されることも影響している可能性があります。

これらの需給要因により、個人投資家の保有比率が高い銘柄の対TOPIXパフォーマンスは、9月末を起点として1月上旬に底打ちし、その後3月中旬まで改善が続くことがわかります(※2013年9月末以降のデータを参照)。さらに、2024年については、新NISAの開始により需給インパクトが例年よりも大きくなる可能性があります。

それでは、個人投資家の保有比率が高い銘柄の中でも、選好されるのはどのような銘柄でしょうか。野村證券では、高配当利回り銘柄に資金が集まる可能性があると見ます。TOPIX500構成銘柄の中で、2022年度に個人投資家の保有比率が大きく増加した上位50銘柄の、2023年3月末時点の予想配当利回り(2023年度基準)の中央値は3.2%で、母集団の中央値である2.4%を上回っています。高配当利回り銘柄は、インフレ対策のひとつとして注目されているようです。

なお、新NISAの開始により、個人投資家の買い付けは1~3月に活発化が予想されますが、日本株全体を大きく押し上げることは難しいと見ます。例えば、2016年に一般NISAの投資上限が引き上げられましたが、純買い付け額は増加しませんでした。また、つみたてNISAについては、個人投資家の間では、日本株式投信よりも海外株式投信の人気があります。ただし、海外株式投信への一極集中も変わりつつあり、2023年初からの日本株上昇を受けて、2023年6月以降は国内株式投信への資金純流入額が拡大しています。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 新NISA・個人投資家動向の3つの注目点(2023年10月13日配信)」(プレミアムプラン限定)

【野村の投資判断】新NISAの影響①:年末までの売りリスクに注意(2023年10月23日配信)

(注)画像はイメージ。

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