
YCC「撤廃」はファンダメンタルズ、YCC「修正」は市場環境が鍵を握る
10月の日本銀行(以下、日銀)の金融政策決定会合(以下、決定会合)について、野村證券では、YCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)における政策金利や、金融政策が据え置かれることをメインシナリオとしています。
一方、金融市場には日銀がYCC再修正に踏み切ると見る向きも多くなっています。その背景として、10年物国債利回りが長期金利の変動幅の上限(1%)に迫っていることで、YCCの持続性を損ねる恐れがあることや、為替レートが1ドル=150円を超える中、YCCが据え置かれると更に円安が進む恐れがあること、などを挙げることができます。
YCCの先行きを見通す上で重要なことは、YCCの「撤廃」が物価や賃金などのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づいて判断される一方、YCCの「修正」は金利や為替など市場環境に左右されることです。野村證券では、持続的かつ安定的な2%インフレの実現を見通せるほど、賃金・物価の好循環が十分に形成されたとは見ていません。次回決定会合でYCCが「撤廃」される可能性は低いと考えます。
加えて、日本のインフレ率の低下や、米国の金利低下、ドル円レートのピークアウトなどを背景に、2024年には日本の長期金利も上昇から横ばい圏内の動きに転じると見ています。非常に難しい判断ではありますが、YCCの「再修正」についても次回決定会合では行われないと見ています。
(FINTOS!編集部)
要約編集元アナリストレポート「日本銀行金融政策決定会合プレビュー 2 – 会合焦点:YCC「撤廃」はファンダメンタルズ、YCC「修正」は市場環境が鍵を握る(2023年10月27日配信)」(プレミアムプラン限定)
(注)画像はイメージ。