ショーボンドホールディングス(1414) 建設

修繕工事を展開、高速道路向けで拡大

道路、鉄道、電力、港湾、建物等の社会インフラ分野を中心にコンクリート構造物の補修・補強等の事業を展開する。修繕工事に加えて、構造物の補修・補強で使う製品や部材の販売も行っている。工事では、公共向けの売上比率は90%以上を占め、近年は高速道路向け比率が拡大傾向である。

政府は高速道路の有料期間を2115年まで延長可能とする法案を2月に閣議決定した。NEXCO は有料期間延長により財源を確保し、1兆円の追加の老朽化対策計画を検討している。追加の更新計画を考慮し、野村ではNEXCO による修繕工事の発注高は28.3期に1兆円(23.3期は7,100億円と推定)程度まで拡大すると予想する。

10~12月期以降の受注回復を予想

10月上旬に発表された最新のNEXCOの発注見通しを考慮すると7~9月期をボトムに10~12月期以降にて発注量は回復に向かうだろう。7~9月期までの発注減は交通量の多い都市部での難易度の高い案件も増える中、設計が遅れていたことによる一時的な要因と考えており、今後設計を終えた案件の発注が徐々に進もう。

橋梁の劣化ペースを考慮すると、修繕工事のペースを加速させる必要があり、案件の大型化など効率的な発注も模索されながら発注量は増加に向かおう。また、難工事の増加は幅広い施工方法を有し、ノウハウが豊富な当社にとって追い風となると野村では考えている。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 濱川 友吾)

ラサールロジポート投資法人(3466) 不動産投資信託

物件売却により売却益34億円を計上

スポンサーは米国、欧州及びアジア太平洋地域において不動産資産運用ビジネスを展開するラサール・グループ。2023.8期に増資を実施し、「ロジポート京都」等3物件(取得価格合計231億円)を取得、ポートフォリオ全体の取得価格合計は3,800億円超に。他方、23.8期決算発表と同時に、「ロジポート流山B棟(準共有持分37.5%)」を売却する一方、ブリッジファンドから「犬山物流センター」等を取得する物件入替取引を公表。過熱化する実物不動産市場を活用し「ロジポート流山B棟」の売却では売却益34億円を計上(投資主に還元)する予定。これにより24.2期の会社予想1口当たり配当金は前期比21%増の3,750円。

CPI連動条項の導入等によりインフレ耐性

23.8期末時点のポートフォリオ全体(倉庫区画)の期中平均稼働率は99.0%となり高位安定を維持。他方、堅調なテナント需要とスポンサーの強固なリーシング力を背景に、当社では、過去3年(21.2期~23.8期)の平均賃料増額率は+5.5%(定借物件)である。足元、日本でもインフレの兆候が垣間見られる環境下、保有物件の「ロジポート大阪ベイ」では、賃貸借契約更改時に期間20年の長期契約を締結する一方、将来の物価上昇に備え、5年毎にCPI(消費者物価指数)に連動した賃料増額改定の条項を導入。当社では、賃貸借契約期間の短期化やCPI 連動条項の導入等によりインフレ環境に備える方針。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 大村 恒平)

THK(6481) 機械

2024.12期は産業機器が回復局面入りへ

当社は産業機器と輸送機器の2つの事業を持つ。産業機器では世界で初めて直線運動の転がり化を実現したリニアガイド(直動軸受)が主力製品で、世界シェア5割と推定される。輸送機器では自動車の足回り部品を中心に製造する。売上構成比は産業機器が72%、輸送機器が28%だが、産業機器が全社の営業利益を稼ぐ(22.12期)。

23.12期は設備投資需要の減少および顧客の在庫調整により、産業機器の受注が低水準で推移し、大幅減益が予想される。一方、下期の受注が大底圏で、24.12期からは半導体製造装置をはじめとした設備投資需要が回復し、当社収益も回復局面入りすると予想する。

産機は需要回復、輸送機器は損益改善へ

産業機器の顧客業種比率は半導体製造装置を含む電機が35%、工作機械が25%、多種の産業機械などが40%と推定される。相対的に需要の回復が早いと予想される電機向けの売上構成比が高い。また、限界利益率が4~5割程度と高く、需要回復局面では増収が増益へ繋がろう。

輸送機器事業では自動車の生産正常化に加え、損益の改善が進んでいる。当社は収益構造の改革としてコストの削減、新製品の開発に取り組む。特に、自動ブレーキ(EV 向け部品)は直動部品(ボールねじ)の技術を転用するため強みが生かされており、利益率が従来の自動車部品より高いと見られる。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 小笠原 れい)

※野村週報 2023年11月6日号「銘柄研究」より

※掲載している画像はイメージです。

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