米国では5日(日)に夏時間が終了しました。本日以降の米国株式市場の取引開始は日本時間で23時30分、取引終了は日本時間の朝6時です。ご注意ください。

先週:米長期金利と企業業績が好転

前週の米国株は米長期金利(10年国債利回り)の急低下と、7-9月期決算発表のポジティブサプライズ比率の回復が重なり、前々週末から大きく反発しました。

企業業績は市場予想を上回り推移

S&P500指数を構成する企業のポジティブサプライズ比率(注1)は、10月27日時点(244社発表)時点での純利益ベースで、77.6%と7-9月期決算発表が本格化する前の10月13日時点(32社発表)の87.5%から低下し、10月後半、株価への下押し圧力となっていました。

しかし、11月3日時点(403社発表)までの間に、ポジティブサプライズ比率は81.6%まで回復しました。

(注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500 企業のうち決算実績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。2023年7-9月期には、2023年6-8月期決算、2023年8-10月期決算企業も含む。

(注2)直近4四半期平均とは2022年7-9月期~2023年4-6月期の平均。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は1994年以降の平均。

(注3)LSEG(旧リフィニティブ)による2023年10月27日時点(売上高について402社、純利益について403社)の集計。

(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

株価は予想EPS(一株当たり利益)、 × PER(株価収益率、長期金利と関係)で表現されます。

これまで市場のセンチメント悪化につながっていたとみられる企業業績が堅調さが確認されたことが、米国株の追い風となったと見られます。

長期金利が急低下

先週は、EPS以上にPERの上昇が株価にプラスとなったと考えられます。PERを大きく押し上げたのは、米長期金利の低下です。11月FOMC(米連邦公開市場委員会)を無風で通過したことに加えて、米国債の借り換え(リファンディング)において増発ペースが前回から鈍化したことや、10月雇用統計やISMサービス業景気指数が市場の想定以上に弱い内容であり、利上げの必要性が薄れたことが長期金利低下の背景にあるとみられます。

Point1. 7-9月期決算企業は予想修正の局面へ

リビジョン・インデックスの推移

(注) S&P 500 指数構成企業のリビジョンインデックス。リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断される。直近値は2023年11月1日時点。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2023年12月期)、FY2は予想2期目(12月決算企業の場合、2024年12月期) 。

(出所) LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

S&P500構成企業の8割超の企業が7-9月期決算発表を終えているため、今週はアナリストの業績予想が注目されそうです。上図の通り、決算発表前~決算発表期間中には業績を慎重にみて下方修正するアナリストが多い傾向にありましたが、今後上方修正が進むと予想されます

セクター別の前年比増益率(2024年)

投資家の注目度が高い2024年のS&P500指数の前年比増益率を、11月3日時点と10月13日時点とで比較すると以下の通りになります。

10月13日時点の予想

11月3日時点の予想

(注)2023年10月13日時点のLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。セクター名に付されている(  )内の番号は、識別のために野村證券投資情報部で付与している番号。

(出所)LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成

S&P500指数全体は、前年比+11.6%→同+11.7%と大きな変化はありません。セクター別では、ヘルスケアセクターは 同+12.7%→ 同+17.6%と比較的大きな上方修正が、不動産セクターは 同+4.3%→ 同+2.2%と下方修正がなされていることが確認できます。当然ながら、決算実績が良好であった企業やセクターは市場予想も上方修正される傾向にあります。これまでの決算内容を精査し、投資に活かす局面と考えられます。

ご参考:マグニフィセント7の決算振り返り

アップル(AAPL):中国でのiPhone販売は堅調・見通しは比較対象期間と新製品のタイミングが重石、株価は-0.52%

アマゾン・ドットコム(AMZN):生成AIは数百億ドルの売上高をもたらす、株価は+5.14%(時間外取引)

メタ・プラットフォームズ(META):AIビジネスへのシフト順調・中東情勢が広告収入に悪影響、株価は-1.91%(時間外取引)

アルファベット(GOOGL):ネット広告堅調もクラウド部門が市場予想を下回る、株価は-6.33%(時間外取引)

マイクロソフト(MSFT):コパイロットのリリースを前にクラウド事業堅調、株価は+3.47%(時間外取引)

テスラ(TSLA):サイバートラックの出荷や年間生産台数の目標を維持、株価は-2.13%(時間外取引)

※エヌビディア(NVDA)は8-10月期決算企業のため今後発表を予定

Point2.米長期金利低下は持続的か?

先週の株価上昇の一因と考えられる米長期金利の低下は持続的でしょうか。

現在、市場が織り込んでいる2024年中の利下げ幅は1.0%ポイントです。今年に入って市場でも最も大きく利下げを織り込んだのは、3月にシリコンバレー銀行(SVB)が破綻した直後の1.5%ポイントでした。今後、仮に市場が同程度の利下げ幅を織り込んだ場合、FF(フェデラル・ファンド)先物金利と10年国債利回りの関係が変わらないと仮定すれば、10年国債の居所は3.9%程度と試算されます。

一方、国債増発ペースはスローダウンしたとはいえ、タームプレミアム(長期の国債に上乗せされる金利)の高い水準が続いています。当社の小清水ストラテジストは、「現在の上乗せ幅を前提とするならば、当面の米長期金利の低下は4.3%程度で留まる」と予想しています。

足元で住宅ローンの上昇や株価下落(による”逆”資産効果)による景気下押し圧力がかかっていることから、10-12月期の景気鈍化の可能性は高まっているとはいえ、3月のような悲観的な見通しがコンセンサスとなるかは未知数です。今週は9日(木)発表の新規失業保険申請者数(11/4の週)や、10日(金)発表の11月消費者マインド速報値(ミシガン大学調査)など、景況感を示唆する速報指標に注目したいとと考えます。

Point3.FOMC後の参加者発言に注目

11月FOMCを終え、市場の目線は12月FOMCに移っています。今週からはFOMC参加者の発言も増えます。9日(木)のパウエル議長講演や、10日(金)のダラス連銀のローガン総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁などの講演内容に12月FOMCに向けたヒントがないか確認したいと考えます。

(FINTOS!外国株 小野崎通昭)

ご投資にあたっての注意点