2023年10月(10月2~27日、以下同じ)の主な投資部門別の売買動向を現物と先物の合計で概観すると、個人投資家や事業法人などが買い越した。売り越したのは海外投資家や都銀・地銀等であった。

海外投資家は現物と先物の合計で9,036億円を売り越した。売り越しの中心は先物で1兆8,684億円を売り越した。米国長期金利が上昇したことに加え、日銀金融政策決定会合(10月30、31日)、FOMC(米連邦公開市場委員会、10月31日、11月1日)といった重要イベントを控える中で、リスク回避姿勢が強まったと見られる。他方、現物は9,648億円買い越した。海外に上場する日本株ETF(上場投資信託)には同時期に資金純流入が続いたことから、中長期目線の投資家が買い手になったと見られる。

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都銀・地銀等は3,767億円を売り越した。売り越しの中心は先物で2,829億円を売り越した。6月第2週から9月第4週にかけて4,185億円を買い越しており、持ち高を解消する売りが出たと見られる。

個人投資家は7,104億円を買い越した。TOPIX(東証株価指数)が前週比で2%以上下落した第1週および第3週の買い越し額がそれぞれ4,848億円、4,757億円と大きかった。押し目買いを行ったと見られる。

事業法人は5,125億円を買い越した。企業が自社株買いを積極的に行っていると見られる。また、当月の現物売り付け総額は今年度に入ってから最も小さかった。政策保有株の売却ペースが一旦鈍化した可能性がある。

(野村證券市場戦略リサーチ部 藤 直也)

※野村週報 2023年11月13日号「株式需給」より

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