日本瓦斯(8174) 小売業

LPガス事業の利益拡大がカタリスト

当社は関東圏を地盤とするガス会社である。特にLP ガス事業に強みがあり、顧客数および利幅の拡大により利益拡大が期待できる。近年、家庭用のLP ガス利幅は拡大している。2021.3期家庭用LP ガス利幅は1kg当たり192円だったが、23.3期は212円、24.3期会社計画では231円と3年間で20%程度増加している。利幅が拡大している要因は基本料金の改定や原料調達の工夫などが挙げられる。なお、6月から8月までの顧客純増数は、消費者庁から訪問販売停止の行政処分を受けた影響で低迷したが、行政処分が明けた9月の顧客純増数は回復しており、今後の動向が注視されるだろう。

積極的な株主還元策が特色

当社は以前から株主還元を重視する姿勢を打ち出している。21.3~23.3期の総還元性向は配当の増額と自己株式の取得と合わせて、概ね100%の水準で推移していた。24.3~26.3期の3カ年計画において総還元性向100%超の方針に加え、自己資本比率の最適化に向けて自己株式の取得を実施すると発表している。特に配当の増加に重点を置いている。会社計画の24.3期年間配当金予想は75円/株である。野村予想でも24.3~26.3期の総還元性向は各々100%を超える水準と予想しており、26.3期末の自己資本比率が40%程度に到達するように自己株式取得を実行すると予想している。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 山﨑 慎一)

沖縄セルラー電話(9436) 情報・通信

2023年7~9月期利益は順調に推移

23年7~9月期営業利益は前年同期比14%増益の47.6億円と順調に推移した。また、会社は24.3期中間配当を45円から50円、通期配当計画を90円から100円に引上げた。

携帯通信ARPU(1アカウント当たりの月額通信収入)は、前年同期比で4.3%上昇した。au ブランドではデータ無制限プランの契約比率が高水準で推移し、UQ モバイルでは中大容量データプラン比率が上昇した。

また、端末補償サービスが好調な携帯付加価値ARPU は同12.2%上昇し、電力再販事業も料金体系の変更効果で採算が改善した。

中期経営計画に対する進捗は良好

22年10月に当社は初めて中期経営計画を発表し、25.3期に携帯通信ARPUの上昇を計画する他、株主還元では増配と機動的な自己株式取得を明記している。

野村ではau ブランドでのデータ無制限プラン拡大により、au・UQ モバイル・povo の3ブランド平均の携帯通信ARPUは、24.3期に前期比2.0%上昇と計画を1年前倒しで増加に転じ、25.3期も同0.2%上昇を見込んでいる。

野村では、自己株取得前提を24.3期は会社と同額の約115億円、25.3期以降は各期40億円としている。配当は、24.3期は前期比12円増の100円、25.3期は同4円増の104円を前提としている。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 増野 大作)

ベルク(9974) 小売業

相対的な安さで客数を伸ばし、好調続こう

当社は埼玉県を基盤に、「ベルク」の屋号で首都圏に133店舗(2023年2月末)を展開する大手食品スーパー。当社の最大の特長は「標準化」。各店舗で売場レイアウト(600坪)や什器・設備、従業員の作業割りなど、ハードとソフトの両面を統一して展開し、全社的にシンプルで効率的なオペレーションにより高い収益性を実現している。この「標準化」を武器に、継続的な出店と顧客支持の獲得を通じた1店舗当たり売上の向上により、24.2期以降は最高益更新の安定成長を継続すると予想している。

23年に入って節約志向の高まりにより、当社は相対的な安さで消費者を惹きつけ、集客面で優位性を発揮し続けられている。

好調な販売で24.2期は最高益更新へ

24.2期の営業利益を前期比11.6%増の156億円と予想する。客数・客単価の両面で既存店売上がけん引され、増収が利益拡大をもたらそう。一方、会社計画対比で上期は好調な業績進捗であることから従業員と消費者への利益還元を強めると想定し、下期は経費増により前年同期比で営業減益を予想している。減益になるが、好調な業績時の適切な利益配分は消費者の当社への支持を中長期的に高める上で有効であると野村では考えている。

25.2期の営業利益を前期比6.1%増の166億円と予想する。継続的な新規出店と客数の伸長による既存店売上の増加が業績をけん引しよう。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 小林 大輝)

※野村週報 2023年11月13日号「銘柄研究」より

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