自動車・消費関連は上振れ、設備投資関連は下振れ

米国の長期金利の変動に対して、日本株と米国株は異なる反応を示しています。金利上昇がもたらす米国の銀行株への影響は、金融ストレスへの警戒から「逆相関」となっています。一方で、日本の銀行株は、日銀の金融政策正常化に対する期待感から「順相関」を示しています。この逆行性により、米国の金利が上昇する際には、バリュー株を中心に日本株が相対的に優れたパフォーマンスを見せる傾向にあります。

2023年7-9月期の日米企業の決算では、米国企業の減速に対し、日本企業は好調を維持しています。決算の特徴ですが、日本については米国関連企業の間で明暗が分かれています。自動車・消費関連企業は、コロナ禍で蓄積された過剰貯蓄の解消とペントアップディマンド(繰り延べ需要)によって、業績が上振れています。一方、システム投資を含む設備投資関連企業は、金利上昇による冷却効果から業績が下振れています。

先行きについては米国景気の不確実性に注意が必要です。特に重要なのは米国の消費がヤマ場を迎える年末商戦の動向です。年末商戦の見通しが弱気に転じると、日米間の金利差と不整合となっている円安の修正も含め、外需環境が大きく悪化するリスクが高まります。

セクター推奨としては、値上げ効果や米金利の低下から恩恵を受けるグロース特性を持つ「システム・アプリケーション」、日本のデフレからの脱却や実質金利の長期的なマイナス状態を背景に「不動産」、さらに値上げ効果のある「食品」業界に注目しています。また、輸出関連株の中では、景気サイクルに対してほぼ中立な「半導体製造装置」がアウトパフォームする可能性のある候補として挙げられます。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年11月9日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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