日本軽金属ホールディングス(5703) 非鉄金属

低迷していた業績の本格回復が始まる

幅広いアルミ関連製品を展開する総合アルミメーカー。「アルミナ・化成品、地金」、「板、押出製品」、「箔、粉末製品」の他、トラック架装などを手掛ける「加工製品、関連事業」など主に4つの事業を擁する。

2024.3期の営業利益は前期比2.3倍の175億円を予想する。トラック架装事業を担う連結子会社の日本フルハーフでは、前期の大幅な赤字から、24.3期は黒字化を予想する。足元では国内のトラック販売台数が本格回復しており、製品の価格改定による採算性の改善も進む。その他、地金製品や箔、粉末製品部門でも自動車向け製品の割合が高く、自動車の挽回生産の恩恵を受け、全社業績の回復を牽引するであろう。

半導体工場の建設等が追い風

当社の連結子会社の日軽パネルシステムやエムシーアルミで、中長期的な成長期待が高まっている。日軽パネルシステムは断熱パネルメーカーとして国内トップシェアを有し、足元では半導体工場のクリーンルーム用断熱パネルの受注が旺盛である。日本政府は国内の半導体工場建設への継続的な支援を表明しており、今後も当市場の拡大は続くと予想する。

エムシーアルミは国内の主要アルミ二次合金メーカーである。大手自動車会社の中には、鉄で作られていた車体部品の一部を、将来的にアルミ合金を使った鋳造工法に切り替える動きがある。当社にも事業機会につながる可能性がある。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 中川 知哉)

アイシン(7259) 輸送用機器

トランスミッションに強いトヨタ系

トヨタ系自動車部品メーカーで、2023.3期売上高の65%がトヨタグループ向け。自動変速機(AT)や手動変速機(MT)のトランスミッション製品に強みを持つほか、ブレーキやエンジン関連、ボディ部品等も手掛ける。主力製品であるAT の23.3期販売台数は926万台で世界トップクラス。

23年7~9月期は、日本でハイブリッドや電気式四輪駆動の設定の増加に伴い、電動ユニット需要が堅調に推移した。操業度上昇により利益が大きく回復した。また、中国メーカー向けのAT 需要が堅調に推移している。比較的高収益なミニバン向けのパワースライドドアの拡販も進んでおり、中国では製品ミックスが改善している。

電動化製品の拡販と資本効率向上に期待

当社は電費改善や航続距離延伸など電動車の高い走行性能に貢献する製品を持つ。例えば、電動車でエンジンの代わりになるイーアクスルでは、減速ギヤとモータを供給する。精密なギヤ技術を強みに低ノイズ化を実現し、25年から次世代品ではトヨタ外への拡販も進むとみる。また、当社が持つブレーキや足回り製品との制御連携による安全・快適な走りの実現も期待される。

当社は在庫や低効率資産の圧縮に加え、政策保有株式の売却を進める方針を発表している。創出したキャッシュを更なる成長投資や追加株主還元(両者で合計5,000億円)に充て、早期にPBR(株価純資産倍率)1倍超の達成を目指す。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 石本 渉)

豊田通商(8015) 卸売業

好調な業績動向が続く

鋼板や自動車部品のトレード事業といった自動車の生産関連事業や、アフリカなど新興諸国での自動車の販売関連事業に強みを持つ総合商社。自動車の生産関連事業については、半導体不足が解消されてきていることを背景に自動車生産が回復するなど事業環境が改善傾向となっている。また、自動車の販売関連事業についても、アフリカなど新興国でモータリゼーションが起きつつあることもあり、需要の伸びが続くなど良好な事業環境が続いている。こうした事業環境の良化もあり、2024.3期上期決算では通期の親会社株主利益計画を期初計画の3,000億円から3,200億円に上方修正している。

株主還元策を拡充する動きも出ている

同業他社との比較で、配当性向や自社株買いなど株主還元方針では見劣りする状況が続いてきた。一方で、良好な業績動向に加え、財務体質の改善もあり、24.3期上期決算では、24.3期の配当性向を従来の25%から27.5%に引き上げ、24.3期から26.3期の現中期経営計画の期間は累進配当を実施する方針が示された。また、26.3期までに配当性向30%以上を達成する方針も併せて発表された。

現時点では依然として同業他社比で見劣りする水準ではあるが、早期の配当性向の引き上げや自社株買いの実施については期待したい。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 成田 康浩)

※野村週報 2023年11月20日号「銘柄研究」より

※掲載している画像はイメージです。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点