2023年4月、政府は30年秋ごろの開業を目指す大阪府と大阪市のIR(統合型リゾート)整備計画を全国で初めて認定した。

大阪IR では、大阪湾の人工島である夢洲にカジノやホテル、国際会議場などを併設した一大エンターテインメント施設が誕生する見込みである。大阪府と大阪市は、IR が開業した後も、経済波及効果を年間約1.14兆円、雇用創出効果を年間約9.3万人と見込んでおり、関西圏を中心に地域経済の活性化につながると期待される。

海外のIR では、MICE に関連する施設が併設される事例が多く見られる。MICE とは、ミーティング(Meeting:企業等の会議)、インセンティブ(Incentive travel:報奨・研修旅行)、コンベンション(Convention:国際会議)、エキシビション(Exhibition またはEvent:展示会・見本市等)の頭文字を取った造語で、多くの集客交流が見込まれる大規模なビジネスイベント等の総称だ。

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世界を代表するMICE 都市が米国ラスベガスだ。ラスベガスは、大型ショッピングモールやファミリー向けのエンターテインメントショー、会議や展示会などが開催できるコンベンションセンターなど、カジノ以外の魅力をいかに高めるかに軸足を置いて街づくりを行い、その結果、世界最大級のMICE 都市となった。

日本型IR では、カジノの面積はIR 施設の延べ床面積の3%までとする方針で、観光施設等との一体開設が条件となる。その為、周辺都市のインフラ整備や広域の観光振興なども視野に入れた都市開発が必要となる。街全体の施設造りをマネジメントする不動産ディベロッパーや、建設会社、インフラを保有する鉄道会社などにとって、ビジネスチャンスが広がると期待される。

(野村證券投資情報部 寺田 絢子)

※野村週報 2023年11月20日号「投資の参考」より

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