為替変動への耐性が高いことに加えて、米金利低下の恩恵も受けやすい

10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回ったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加の利上げの必要性が低下しています。ドル円相場に影響を与える米5年国債利回りがピークアウトする可能性が高まっており、金利差の観点からはドル円相場の上昇にも歯止めがかかりそうです。野村證券は2024年末のドル円相場を1ドル=135円と予想しており、このような市場環境下での適切な銘柄選択が問われています。

野村證券ではセクターとしては、システム・アプリケーション、不動産、食品、半導体製造装置に注目しています。今回は半導体製造装置について詳しく見てみます。半導体製造装置は輸出業種の中でも、グローバルな景気循環や為替変動に対する耐性が高いと評価しています。さらに、米国の金利低下に伴う円高の際には、金利低下によるバリュエーション上昇の効果を通じて株価が上昇しやすいグロース株の特性を持つ点も魅力です。実際にTOPIX17業種を比較すると、半導体製造装置を含む電機・精密業種は、円高耐性と金利低下メリットの観点で機械や自動車業種より優位にあります。

半導体製造装置の2023年7-9月期決算では、業績底打ちが確認されましたが、その後の回復は緩やかとなり、本格的な回復は2024年下半期以降と予想しています。しかし、各社の決算で業績底打ちが確認されたことから、株式市場では市場回復への期待がこれまでよりも高まりやすくなったと考えます。

野村證券がカバーしている半導体製造装置企業の決算動向ですが、東京エレクトロン(8035)とSCREENホールディングス(7735)は通期の会社計画を上方修正しました。また、東京精密(7729)の受注は野村予想を上回る結果となりました。ディスコ(6146)は為替の影響を除けば、出荷、売上高、営業利益が野村予想を上回りました。一方で、アドバンテスト(6857)は通期の会社計画を下方修正しました。

(FINTOS!編集部)

(注)2023年11月21日時点での野村證券各種見通しに基づき作成。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部、エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

参考アナリストレポート

日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年11月16日配信)
日本SPE:23年7~9月期決算振返り – SPE市場底打ちで回復がより意識されよう(2023年11月20日配信)
国際金融為替フラッシュ – ドル円:24年に向けた見通しを修正(2023年11月20日配信)

要約編集元アナリストレポートについて

ご投資にあたっての注意点