※2023年11月22日(水)引け後の情報に基づき作成しています。

中段保ち合いを完全に上放れできるか注目

今週の日経平均株価は、急速な円高・ドル安を背景に、週前半は下落しましたが、その後は日米長期金利の低下などを受け、底堅く推移しました。

日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、11月に入り75日移動平均線(11月22日:32,196円)を上抜けたことに加え、10月13日高値(32,533円)を超え10月4日・30日安値でのダブルボトムが完成となったことから、本格的な上昇トレンド入りとなっています(図1)。

20日にはザラバベースで6月19日高値(33,772円)を一時上回り年初来高値を更新しました。その後押しを入れましたが、それら急騰の反動をこなしつつ、11月20日高値(33,853円)を超え中段保ち合いを完全に上放れできるか注目されます。

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(注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

また週足チャートで見ると、今回の中段保ち合い上限への接近は、下落率や調整期間の点で2020年6月~10月末の中段保ち合い時と比較して調整十分となった後の上限接近です(図2)。上限突破となる可能性も十分考えられ、次の上値メドとして心理的フシの35,000円の水準が挙げられます。

(注1)直近値は2023年11月22日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一方で、上値が重く一旦調整を入れる動きとなった場合は、11月6日上抜け後に下値支持線として機能した75日移動平均線(11月22日:32,196円)や、上向きに転じた25日線(同:32,125円)が下支えとなると期待されます(図1)。

米長期金利・日米株、中期トレンドに変化やその兆し

10月にかけては米国長期金利の上昇が、株価の下落につながっていましたが、一転11月は長期金利が低下し、株価は上昇しました。チャートで見れば、その動きは揺り戻しの範疇を超え、複数の指数で中期トレンド(数ヶ月単位の方向性)に変化や、その兆しがみられています。

①米国10年債利回りは、今年4月ボトムから続いてきた上昇トレンドラインを割り込み(図3)、②NYダウは今年8月以降の下降トレンドラインを完全に上抜けました(図4)。

(注1)直近値は2023年11月20日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(注1)直近値は2023年11月21日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社データより野村證券投資情報部作成

そして③日経平均株価も大幅上昇し、11月20日に取引時間中ベースでの年初来高値(33,853円)をつけました(図1)。その後は押しを入れていますが、10月安値は下落率や下落期間の面でみて調整十分と捉えられ、同安値で大底を形成した可能性が高いと考えられます(図2)。そのため、この先、急上昇の反動をこなしつつ、中段保ち合いの明確な上放れに向けた動きとなることが期待されます。11月に生まれた相場の新たなトレンド(方向性)が2024年にかけて継続となるか注目されます。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

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