※2023年11月30日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

トレンド上限突破となれば35,000円処が次の上値メド

今週の日経平均株価は、米長期金利の低下を背景として円高・ドル安が進行したことから、上値が重い動きとなりました。

日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。日経平均株価は、11月に75日移動平均線(30日:32,274円)を上抜けし、さらに10月4日・30日安値でのダブルボトムが完成したことから、中長期上昇局面に回帰した可能性が高まったと考えられます(図1)。20日にはザラバベースで6月19日高値(33,772円)を一時上回り年初来高値を更新しました。その後は上値の重い動きとなっていますが、それら押しをこなしつつ、11月20日高値(33,853円)を超え中段保ち合いを完全に上放れできるか注目されます。

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(注1)直近値は2023年11月30日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

今回の中段保ち合い上限への接近は、下落率や調整期間の点で2020年6月~10月末の中段保ち合い時と比較して調整十分となった後の上限接近です(図2)。上限突破となる可能性が高いと考えられ、次の上値メドとして心理的フシの35,000円の水準が挙げられます。

(注1)直近値は2023年11月30日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

一方で、11月の前月末比上昇幅(2,628円)は約3年ぶりの大きさになっており、急騰の反動から調整を入れる動きとなった場合は、11月14日~15日のマド埋め水準(32,836円)や、明確に上向きとなっている25日線(30日:32,545円)が下支えとなると考えられます(図1)。

米国10年債利回り、2023年の振り返りと24年の見通し 

米国10年債利回りは、今年3月の米中堅地方銀行破綻をきっかけに金融不安が広がり、4月にボトムの3.247%をつけました。ただ、当局の迅速な対応で市場は落ち着きを取り戻し、その後は高止まりするインフレに注目が集まり、金融引き締め長期化懸念から大幅な利回り上昇となりました。10月には一時5%と約16年ぶり水準まで上昇しました。では、2024年はどのような動きがみられるのでしょうか。

チャート面でみると、2024年は利回り低下トレンドに入る可能性が高いと考えられます。今年10月ピーク形成後、11月にこれまで下支えとなってきた今年7月以降の上昇トレンドラインを割り込んでおり、当面の天井をつけた可能性が高まったと考えられます(図3)。

(注1)直近値は2023年11月28日。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端を含む。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

この先、10月ピークまでの利回り上昇局面で下支えとなってきた12ヶ月移動平均線(11月28日:3.963%)を下放れとなれば、年単位の利回り低下トレンド入りすると考えられます。今年10月ピークまでの利回り上昇期間は、過去の利回り上昇期間を大幅に上回っており、今年10月ピークで中長期トレンド上の天井をつけた可能性も十分考えられます。先行き12ヶ月線を割り込んだ場合、2020年3月ボトムから2023年10月ピークまでの上昇幅に対する1/3押し(3.449%)の水準がメドとして挙げられます。

(投資情報部 岩本 竜太郎)

※画像はイメージです。

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