Sansan(4443) 情報・通信

日本を代表するSaaS 企業

 当社は法人・個人向けにインターネット経由で名刺管理サービスを提供する、クラウド型ソフトウェア(SaaS: Software as aService)企業である。

 2020.5期売上の92%を占める法人向けの「Sansan」は、名刺管理の効率化を軸に、社内の人脈情報の可視化・共有による営業機会の創出など独自の付加価値を提供し、顧客企業の生産性改善を支援する。法人向けでは8割超の圧倒的な市場シェアを有する。最近では働き方改革も追い風に、大手企業を中心に利用が拡大している。

 個人向けサービスの「Eight」は、21年2月時点で286万人が利用する、名刺を起点としたビジネスSNS である。

新型コロナ禍でも堅調、新事業も開始

 主力製品のSansanは、新型コロナ禍で企業の新規導入が一時鈍ったが、既存顧客では、在宅勤務環境下での顧客の連絡先情報の共有に活用された。また、「オンライン名刺」機能など、非対面会議への対応を進めた結果、Sansan事業のストック売上高は直近21.5期第3四半期も前年同期比22.9%増と、堅調に拡大している。

 20年5月には、名刺データ化技術を応用し、紙やPDF等形式で受領した請求書を電子データ化する「Bill One」を開始。20年10月には、イベント運営を効率化する「イベントテック事業」を開始。在宅勤務が追い風となる事業も始め、22.5期以降の売上高成長の加速を図っている。

(吉田 純平)

JMDC(4483) 情報・通信

医療ビッグデータ利活用を最適化

 主に健康保険組合経由で収集した医療データ(検診・レセプト)を匿名加工し、組合員向けの健康支援や製薬会社、生損保にデータ販売を行うヘルスビッグデータ事業と、793名の契約放射線診断専門医(2021年3月末)が遠隔読影を提供する遠隔医療事業を2本の柱とする。

 当社は約930万人の健保由来データを有し、ICT(情報通信技術)を活用し、生活習慣病の増加、医療の地域格差などの解決を目指している。データの利活用は多岐にわたっている。製薬会社は創薬支援や市販後調査など、生損保は新商品開発で活用しており、健保組合員向けに当社独自の健康増進支援サービスを提供している。

ヘルスケアDX をリードする銘柄へ

 21.3期は新型コロナ禍の影響を受けつつも、前期比38%増の売上168億円、同67%増の営業利益37億円と好決算であった。遠隔医療事業では受診抑制や手術数減少などの影響を受けたが、ヘルスビッグデータ事業はインダストリー向け取引額および健保組合員向けサービスのユーザー数が増加し、売上は同77%増と伸長した。

 データを活用したコンサルティングやアプリ開発を立ち上げ、疾患発症予測AI(人工知能)活用の重症化予防プログラムも開始。データ種類拡充とサービス種類拡大が更なる成長と競争優位持続につながり、ヘルスケアDX(デジタルトランスフォーメーション)を先導しよう。

(繁村 京一郎)

ディスコ(6146) 機械

半導体製造装置の有力企業

 当社は工業用砥石を扱うメーカーとして出発、切断・研削技術を応用して半導体製造装置事業に進出し、大きく成長した。

 半導体の製造工程では、シリコンウェーハ上に電子回路のパターンを形成した後、切断してパッケージングし、完成した半導体チップを検査して出荷する。

 当社が得意とする製造装置は、シリコンインゴットから切り出したウェーハを研削するグラインダと、ウェーハ上に形成した半導体デバイスを切断するダイサである。

 世界シェアはグラインダとダイサが70%以上。また、ダイサの消耗品であるブレードも製造しており、この分野の世界シェアは80%以上となっている。

過去最高受注で工場はフル稼働

 目下、世界的な半導体不足を背景に、装置需要は急増しており、2021年1~3月期の受注は過去最高を大きく更新、21.3期業績は過去最高を記録した。

 当社を始めとする半導体の組立装置を扱うメーカーの製造ラインは、秋以降もフル操業が続く見込みである。

 当社は、あらゆる技術変化に対して布石を打っており、5G(第5世代通信)スマートフォンの高機能化によるセンサの多様化、電子部品の小型化、先端パッケージの実用化などが事業機会となろう。

 中期的には、カーボンニュートラル化の流れを受けたパワー半導体需要の増加で業績はさらに成長しよう。

(和田木 哲哉)

※野村週報2021年6月7日号「銘柄研究」より

 この記事は、6月7日に野村證券が発行した「週報」で紹介した内容です。実際のご投資の判断においては、野村グループのアナリストが発行したリサーチレポート等もあわせてご確認ください。

 野村のリサーチレポートは、画面下部のモジュール「関連銘柄」にて各銘柄をタップすると、発行状況をご確認いただけます。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

ご投資にあたっての注意点