野村ストラテジーチームは、多くの海外投資家との議論の機会に恵まれました。ここでは、海外投資家が関心を持っている3つのトピックを紹介します。

1. 東京証券取引所の「要請」の実質的な効果

多くの海外投資家が東証の要請を前向きに評価している一方で、上場廃止などの罰則がないため成果が疑わしいという見方もありました。これに対して、➀「開示企業一覧表」の公開により未開示企業にプレッシャーがかかる、②「好事例集」を共有してノウハウの不十分な企業を支援する、③投資家フィードバックの収集とフォローアップ会議での追加策の検討、という東証の3つの取り組みを紹介しました。

2. 円高への業績・株価の耐性

多くの海外投資家が、円高を日本株のリスクとして警戒しています。これに対して、➀FRB(米連邦準備理事会)のハト派化(金融引き締めに消極的)を起点とするドル安の場合は世界的に株価が支えられやすい、②日本銀行に利上げ開始を急ぐ様子は見られない、③対ドルで10円の円高による企業業績への影響はTOPIX-EPS(1株当たり利益)に対して2%程度に留まる、という見方を紹介しました。

3. 実質賃金の行方

海外投資家からは、中小企業を含めると賃金上昇率は低く、インフレを考慮すると実質的には減少しているとの見方が目立ちました。これに対して、➀来年の春闘での賃上げ率は今年を上回ると見ている、②中小企業を含む毎月勤労統計ベースでも賃金上昇率(同一事業所ベース)は加速傾向、③来年は輸入物価の下落により実質賃金のプラス転換が期待される、という野村予想を紹介しました。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年11月30日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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