システム・アプリケーションは米金利低下を享受できるグロース特性を持つ

野村證券は、米国の物価動向に関して、エネルギーや食料品を除くコアインフレ率が、主に家賃のインフレの鈍化と自動車価格の下落により、今後も減速し続けると予想しています。このため、米国の金融政策に関しては、2023年7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)における利上げをもって、現在の金融引き締め局面は終了したと考えています。さらに、2024年6月からは利下げが始まると見ています。

日本銀行に関しては、2024年4-6月期にYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を撤廃し、同年7-9月期にはマイナス金利の解除を決定するというのがメインシナリオです。これらを踏まえて、2024年12月末のドル円見通しは1ドル=135円としています。為替相場は円高・ドル安の方向にトレンドが変わると予想しています。

このような環境の下で優先すべきファクター(要因)として、バリュー株よりグロース株、景気敏感株よりディフェンシブ株と見ています。具体的なセクターでは、システム・アプリケーション、不動産、食品、半導体製造装置を推奨します。今回は、米金利の低下による恩恵を受けることができるグロース特性を持つシステム・アプリケーションに焦点を当てます。

野村證券がカバーするソフトウェア・ITサービスセクターの主要6社の決算動向を見てみましょう。まず全体観ですが、2023年7-9月期決算は、海外のIT投資が厳しい一方で、国内は全般的に拡大基調が維持されていました。国内では、特に製造業を中心に、幅広い分野で基幹系システムの刷新需要が見られました。

続いて、個別企業の動向ですが、野村総合研究所(4307)は国内需要の好調を背景に、通期の営業利益計画を上方修正しました。オービック(4684)は、通期の会社計画の達成に向けて順調に進展していますが、計画の見直しは行わないとしました。日立製作所(6501)はエネルギー分野が好調で、通期の営業利益計画を上方修正しました。日本電気(6701)は、業績の進捗は順調ですが、テレコム事業などの先行き不透明さを理由に通期の会社計画は据え置かれました。富士通(6702)はデバイス部門の不振を背景に、通期の営業利益計画を下方修正しました。NTTデータグループ(9613)は、通期の会社計画は変更されていませんが、上半期時点での親会社株主利益の通期計画に対する進捗率は37%に留まっています。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

主な参考アナリストレポート

日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年11月16日)

グローバル・エコノミック・アウトルック – 2023年11月:インフレ目標達成の「最後の1マイル」が最も難しい

国際金融為替フラッシュ – ドル円:24年に向けた見通しを修正

産業アウトルック – 2023年11月号(ダイジェスト)

(注1)画像はイメージ。
(注2)2023年12月6日時点での野村證券各種見通しに基づき作成。
(注3)野村證券市場戦略リサーチ部、エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成。

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