トレカ市場は急拡大

トレーディングカード(以下トレカ)市場は近年急拡大している。2020年頃から多くのYouTuber がポケモンカードを中心にトレカのパック開封動画を投稿するようになったことが一因と見られる。加えて、かつて幼少期にトレカで遊んでいた世代が経済力を有する大人になり、購買単価が上昇したことも背景にあると考える。市場シェアは概ねポケモンカードが4~5割程度、遊戯王カードが2~3割程度、ワンピースカードゲーム、デュエルマスターズがそれぞれ1割程度と推察する。

トレカは価格変動が激しい

トレカの二次流通価格は新パック発売やルール変更等に伴う需給動向に左右されやすい。新パック発売直後はカードの供給が少ないため価格が高騰しやすいが、数日で下落し落ち着く傾向がある。その後は新たなパック発売と共に旧パックの流通量が減少するため、徐々に価格が上昇し、販売終了後には高騰しやすくなる。23年に入ってからはポケモンカードの価格高騰が目立つが、1月にルール変更を実施しており、再販が見込まれないカードが増加したことが一因と推察する。

ルール変更の影響も大きい

遊戯王カードでは17年3月に大規模なルール変更を実施し、需要が大きく減少する局面もあった。当時のルール変更では過去のカードの使い勝手が大きく悪化し、プレイユーザーの引退や中古価格暴落に繋がった。新品・中古トレカを扱うテイツーでは関連商材の売上高が18.2期に大きく減少しており、ルール変更の影響が垣間見える。20年4月には再び遊戯王カードのルールが変更されたが、過去のカードの使い勝手が改善したことからユーザーの需要は再拡大している。なお、ポケモンカードでも23年1月にルールが変更されたが、変更が軽微であったことからユーザーに受け入れられたと考えられる。

遊戯王カードは25周年

遊戯王カードでは24年2月に25周年を迎えるにあたり、商品展開が拡大している。記念パックやフィギュア等の発売が複数予定されており、24.3期のコナミグループの売上高拡大に寄与すると野村では予想する。11月には海外で人気商品「RarityCollection」が発売され、国内でも人気の高い高単価パックの発売を24年2、3月に計2種類予定しており(例年は1種類)、ラインナップは充実している。25.3期は周年後の反動減がリスクであるが、24.3期上期決算説明会ではデジタル等の新しい展開やイベント開催等で今の流れを継続したいとのコメントがあり、更なる売上拡大に繋がるか注目したい。

(野村證券エクイティ・リサーチ部 三木 成人)

※野村週報 2023年12月11日号「産業界」より

<お知らせ>「野村週報」は、2023年12月18日号(15日発行)より「週間 野村市場展望」と統合し、新たな「野村週報」としてリニューアルされます。
今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。

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