円金利の上昇シナリオにおいてはバリュー株が健闘する可能性も

日銀関係者から、マイナス金利政策の解除を意識させる発言が相次いでいます。日本銀行の植田和男総裁は12月7日、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べました。また、前日6日には氷見野良三副総裁が、「金利のある時代に戻っていく場合には、貯蓄超過主体である家計部門は、総じてみれば収支が改善するのではないか」と発言しています。

市場では政策変更に対する警戒感が高まり、日本市場は金利高、円高、株価はグロース(成長)株主導で下落という反応を見せています。野村證券の金利ストラテジストは、12月18-19日の日銀金融政策決定会合では政策変更はないものの、何らかの出口戦略に関する予告があり得ると見ています。

日本株のバリュー(割安)株とグロース株の相対株価や「バリュー」ファクターのリターンは、米金利の影響を受けやすい性質がありました。しかし、2023年7月のYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の柔軟化以降は、円金利の影響が強まっています。

試算によると、米10年債利回りが100bp(ベーシスポイント、1ベーシスは0.01%)低下することによる「B/P(PBRの逆数)」ファクターのリターン押し下げ効果(グロース株の追い風)を打ち消すために必要な日本の10年債利回りの上昇幅は21bpと比較的小幅です。つまり、米金利の低下に逆行して円金利が上昇する場合、バリュー株が健闘する可能性があると言えます。野村證券は、2024年に向けて米国のインフレ鎮静化と米金利のピークアウトを想定しつつ、バリュー株よりもグロース株が有利と見ていますが、円金利の逆行高の影響には注意が必要です。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート

日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年12月7日配信)」(プレミアムプラン限定)

日本株朝メモ – 日銀警戒で円急騰/バリューvsグロース影響(2023年12月8日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注1)画像はイメージ。
(注2)各種野村見通しは2023年12月8日時点。

要約編集元アナリストレポートについて

ご投資にあたっての注意点