市況概況<2023年>

2023年:日経平均株価振り返り、年前半大幅上昇

2023年の日経平均株価は、1月安値形成後に大幅上昇し、7月高値にかけて上昇傾向が続きました。3月に米国中堅地方銀行の破綻をきっかけに金融不安が広がったものの、米金融当局の迅速な対応もあり、一時大幅安となった米国株は4月にかけて値を戻す動きとなり、日本株の下げも限定的に留まりました。

日本では、①3月末に東証が上場企業に対し、PBR(株価純資産倍率)向上に向けた改善策を開示するよう求め、企業改革への期待感が広がりました。また、②4月に来日した米著名投資家のバフェット氏が日本株への追加投資を検討していると報じられたことをきっかけに、国内外で日本株に対する関心が高まりました。さらに③5月の米半導体大手の決算発表を契機として、生成AIの将来性に注目が集まりました。これらを受けて春以降の日経平均株価は力強い上昇となり、5月には2021年9月高値を超えて約33年ぶり高値をつけました。

7月以降は高値圏での保ち合いへ

7月に日経平均株価が33,753円まで上昇した後は、これまでの急上昇の反動もあり、上値の重い動きとなりました。日銀は7月に長短金利操作の柔軟化を発表、その後10月にも再修正し、10年国債利回りの1%超を容認しました。米国では10月にかけて金融引き締め長期化懸念が台頭し、一時、米10年債利回りが5%となり、16年ぶり水準まで上昇しました。これら長期金利上昇が日米株式市場の重石となりました。

11月に再び保ち合い上限へ

しかし、11月に米FRBが2022年の利上げ開始以降初めて2会合連続で利上げを見送り、その後発表された10月の消費者物価指数が市場予想を下回ったことで、これまで上昇してきた長期金利が低下し、株価は反転上昇となりました。NYダウは年初来高値を更新し、日経平均株価は7月高値に迫っています。

2023年の日経平均株価は、年前半に大幅上昇し、その後も高値圏での推移となりました。テーマ面では「生成AI」用途の半導体需要に注目が集まりました。さらに、企業改革への期待感や、海外投資家の日本株への関心の高まりも見られました。今後、各企業が生成AI等の新たな技術をうまく取り込み生産性向上に繋げ、日本経済が新たなステージに入ることができるか注目されます。

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(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

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