新NISAの後押しもあり来年1月以降は高配当戦略の高パフォーマンスを期待

3月決算銘柄の配当取りシーズンが近づいてきました。通常、高配当銘柄(高配当利回り銘柄)の株価は12月ごろからゆっくりと上昇し始め、新年を迎えてからアウトパフォーマンスが顕著になり、権利付き最終日直前にピークを迎える傾向があります。特に今年度は、2024年から始まる新NISA(少額投資非課税制度)の影響で、1月以降の高パフォーマンスが期待されます。過去を振り返れば、2014年のNISA開始時も高配当銘柄のパフォーマンスは年明け以降好調でした。

ただし、株式市場には高配当戦略に対する2つの懸念が浮上しています。一つ目は、今後の金利の動き、特に金利の低下の影響です。一般的に金利の低下は高配当銘柄にとってネガティブです。しかし、高配当銘柄への投資には金利の代替という側面もあるため、金利の低下には高配当銘柄の魅力を高める効果もあります。さらに、金利の変動に対する感応度は銘柄によって異なります。例えば、金融銘柄など感応度が特に高い銘柄を除いて投資すれば、高配当銘柄ポートフォリオの金利への感応度を大幅に下げることができます。

二つ目の懸念点は、今年6月以降のバリュー(割安)株の上昇が、今後の株価上昇の余地を低下させる可能性です。これについては、高配当銘柄全体の平均的なパフォーマンスにはそれほど影響を及ぼさないと予想しています。何故なら、過去を振り返れば、年初からの高配当銘柄のパフォーマンスは配当取りシーズンのパフォーマンスと明確な相関性を持たないからです。

ただし、配当取りシーズン直前の高配当銘柄のパフォーマンスについては、銘柄選択に影響する可能性があるため注意が必要です。配当取りシーズンに高いパフォーマンスを示す銘柄は、個人投資家の影響を大きく受けて、平均的には「逆張り」の傾向があります。しかし、配当取りシーズン直前に高いパフォーマンスを示した年ほど、こうした逆張りの傾向は弱まります。個人投資家は、高配当銘柄の株価が下がった時にはより大きく下落した銘柄を好みますが、株価が大きく上昇した時には勝ち馬に乗ろうとする傾向があるようです。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「日本株クオンツストラテジー – 2023年度配当取りシーズンの高配当戦略(2023年12月8日配信)」

(注)各種データは2023年12月8日時点。画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成

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