海外投資家が日本株買いに動きにくい環境が続く

12月19日の日本銀行の金融政策決定会合では、大方の予想通り政策変更はありませんでした。市場にハト派(政策正常化に慎重)サプライズを与えたのは、マイナス金利解除に向けて、フォワードガイダンス(政策の先行き指針)変更など声明文での明確なヒントがなかっただけでなく、植田和男総裁の記者会見でもほぼゼロ回答だったことでしょう。

日銀のハト派サプライズは、日本株にどのような影響を与えるでしょうか。第1に、FOMC(米連邦公開市場委員会)の急激なハト派化と円高の進行により、日銀の対応に時間的余裕が生じている可能性があります。第2に、日銀がマイナス金利解除に向けて地ならしを進めている方向感は変わりません。第3に、日銀が政策変更を急がない場合、裏を返せば海外投資家にとってみると日銀イベントリスクが出尽くさない状況が長引きます。

結果的に、2024年1~4月の日本株需給は、海外投資家が日本株買いに動きにくい環境が続き、需給的には新NISA(少額投資非課税制度)経由も含めた個人投資家に頼りがちになる、と見ておく必要があるでしょう。

2024年に向けての投資戦略は、総じて円高抵抗力と米金利低下メリットを考慮する必要があります。建設、半導体製造装置、システム・アプリケーション、不動産、食品の5業種の推奨を継続します。建設については、東証要請への対応策を、具体的な時期を定めている、または速やかに開示予定としている銘柄が4銘柄と多く、ガバナンス意識の高いセクターと位置付けています。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年12月21日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

要約編集元アナリストレポートについて

ご投資にあたっての注意点