日経平均株価は35,000円超えでも達成感は強まらない

日本株は年初から力強い上昇をみせており、他の主要株式市場と比べても強さが突出しています。背景としては、以下の4つの要因が挙げられるでしょう。まず1つ目として、節目の34,000円を超えたことを受けてCTA(消費投資顧問)などによる先物の買いが加速したこと。2つ目として、年初から個人投資家が買い手に転じ、「売り手不在」の状況が生じたこと。3つ目として、日本銀行がマイナス金利の解除を急がないという安心感があること。そして4つ目として、地政学的な不透明感が強まっている中で、アジア域内における日本株への資金シフトが生じたことです。

2つ目について、新NISA(少額投資非課税制度)資金は「外国株投信の買付が中心だが、日本株投信にも一部が流入している」という状況でしょう。ただし、年初からの物色対象は大型株が中心となっており、需給をけん引しているのは海外投資家だと考えられます。3つ目については、能登半島地震が、海外投資家の確信度を高めた可能性があります。金利先物が織り込む1・3・4月の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の確率は、累計26%(2024年1月11日時点)と、昨年末の61%から急低下しています。

上記の4つの要因の中でも、1つ目のテクニカルな株価の上値の軽さや、2つ目の「売り手が不在」という状況は、当面の株高材料として継続可能とみます。さらに、3つ目の「日本銀行は動かない」という見方も、3月会合(18日・19日)が近づくまでは大きな変化はなさそうです。よって、日経平均株価は35,000円を超えても、達成感が強まらないという見方が妥当だと考えます。なお、野村證券の2024年1-3月の想定レンジは33,000円から37,000円です。

一方、4つ目の地政学的な要因はピークを迎える可能性があります。また、第3四半期(3Q)の企業業績は、機械や化学など中国景気に敏感なセクターを中心に、若干期待外れになると予想しています。決算発表シーズンを前に、短期志向の投資家による利食い売りが出てくる可能性には留意が必要です。

(野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2024年1月11日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)各種データや見通しは、要約編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。 画像はイメージ。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部などより野村證券投資情報部作成

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