来週の注目点:日米物価関連統計と独製造業受注・ユーロ圏小売売上

2024年も市場参加者の最大の関心は主要国の金融政策に集まりそうです。米国、ユーロ圏では金融引き締めから金融緩和への転換が予想され、利下げ開始時期、利下げペース、政策金利の着地点が注目されます。一方で、日本に関しては金融緩和策の正常化が予想され、マイナス金利の解除とYCC(長短金利操作)政策の撤廃時期、その後の利上げの有無が当面の注目点になります。  

米国の金融政策を巡っては、11日(木)発表の12月消費者物価指数、翌12日(金)発表の12月生産者物価指数が注目されます。FRB(米連邦準備理事会)がインフレ指標としているのはコアPCE(食品・エネルギーを除く個人消費支出)デフレーターの前年比の動向ですが、その前哨戦として上記の両指標は重視されています。粘着性を見せるサービス価格の鈍化が確認できれば、市場の早期利下げ期待につながることが予想されます。

日本に関しては、全国版に先駆けて9日(火)に12月東京都区部消費者物価指数が発表されます。日本銀行は金融緩和の解除要件として「賃金と物価の好循環」を挙げていることから、コストアップ分の価格転嫁から賃上げを伴った値上げへ、企業の賃金・価格の設定行動が変化しているかどうかを注視しています。

欧州、中国からも注目度の高い指標の発表が予定されています。その中でも8日(月)発表のドイツの11月製造業受注、ユーロ圏の11月小売売上高が重要です。ドイツの製造業受注は国内、ユーロ圏内外の財別動向が含まれる情報量の豊富な指標です。また、ユーロ圏では消費の悪化を背景にマイナス成長が続くとの予想がコンセンサスとなっており、足元の消費動向を確認する点から、小売動向が注目されます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年1月5日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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